2010年の万華鏡  もどる  2012年

 2011年

2011年12月8日(木)京都南座 【顔見世】
去年に続いて、敦子さんにお願いして顔見世のチケットを取って頂きました。敦子さんの都合が悪くなられたので、2年前と同じく、英子さんがピンチヒッターで、ご一緒して下さいました。歌舞伎の会に入っておられる敦子さんが取って下さったチケットは昨年同様、3階の真ん中の最前列、とっても観やすいお席でした。

改装から20年を迎えたのを機に舞台の緞帳(どんちょう)が新調。新しい緞帳「赤地草花連紋(あかじそうかれんもん)」は幅18・7メートル、高さ7・5メートルで、重さ約600キロ。赤地を基調に色鮮やかな糸を織り込み、カキツバタやキク、鴨川のしぶきなど、風情ある古都の自然を表現した。西陣織の中でも代表的な高級品とされる「綴織(つづれおり)」で、職人らが手作業で約6カ月かけて製作。聖護院八ツ橋総本店(京都市左京区)が寄贈した。

寿曽我対面 ことぶきそがたいめん】工藤祐経 くどうすけつねに父を殺された曽我十郎・五郎兄弟の仇討の話。
お江戸土産】田舎から結城の反物を売りに来た女が二人、役者を見染めてケチケチの財布のひもを緩めて一夜の夢に大判振る舞いをする。
隅田川】子供を人買いにさらわれた母(坂田藤十郎)がやっとたどり着いた隅田川のほとりで、船頭(中村かんじゃく=藤十郎さんの長男)に子供の事を訪ねる舞踊劇。安寿と厨子王のおはなしの一場面。
与話情浮名横櫛 よはなさけ うきなのよこぐし】仁左衛門さんの与三郎、時蔵さんのお富。”死んだと思ったお富さん、生きていたとは、お釈迦様でも気が付くめえ・・・しらざあ言って聞かせやしょう・・・”の有名な台詞が体中切り傷だらけのヤクザ姿になった与三郎の口から飛び出る。【待ってました、松島屋!!】大向こうの声が一段と賑やかになる。
良いお席で、昨夜の枕投げの疲れ?それとも列車移動の疲れ?でしょうか、コクリコクリしている学生さんの姿がチラホラ。最近では修学旅行生も、学校全体が同じ観光コースで行動するのではなくて、いくつかのグループに分かれて、好きなコースを見学する・・と聞いています。
なんでも自在に吸収できる柔らかな脳の持ち主の彼、彼女達がウツラウツラ眠りに誘われながらも、どんなふうに吸収してくれるのでしょう?
英子さんが持っておられた【竹久夢二展】と【京の小袖展】のチケット。歌舞伎が終わったのが3時半ごろ。夢二展は4時半まで、小袖展は5時半まで。と言うことで頑張って2枚とも使わせて頂こうと先ずTAXIで平安神宮の前にある京都国立近代美術館へ。
夢二独特の影のある表情の女性の絵が多い。超特急で、でも夢二の世界を満喫して次の京都文化博物館を目指してTAXIをとばす。
元は日本銀行京都支店だったという、とても趣のある風雅な建物。
大昔、江戸時代の華やかな時代の小袖が丁寧に保存されていたのに感慨を覚えます。
【小袖】今の着物の原型です。
煌びやかな、王朝絵巻の豪華な小袖から、今に持ってきても手を通したくなるモダンな色使いの小袖”時代を超えた美の競演”パンフレットに嘘はありません。1時間ほどゆっくり、素晴らしい夢の境地を堪能させて頂きました。そのあと、1階のホールで6時から開催される【Xmasハンドベルコンサート】も第一部だけを楽しませて頂き、阪急百貨店の名店街で美味しいお食事を頂いて阪急電車で帰宅。
お芝居と二つの素敵な展覧会で優美な世界を十分堪能させて貰った一日でした。
【失敗談】
何時も敦子さんに頼りっ放しの私。いきなり下車する駅を一つ間違えた為に(祇園四条で下りないといけないのに、一つ先の三条まで行ってしまいました)余裕を持って出た筈が、英子さんと二人、せっかくの美しい街並みを楽しむ余裕もなく、小雨の中を小走りで南座目指して劇場へ。(着物でなくて助かりました。)
着いたときはギリギリ開演に間に合う始末となってしまいました。
2011年12月14日 【RAILWAYS愛を伝えられない大人たちへ  アポロシネマ
【あらすじ】35年間無事故運転を務めあげ後1カ月で定年を迎える滝島 徹(三浦 友和)。定年の一区切りに、妻、佐和子(余 貴美子)と温泉旅行でも・・とパンフレットを持って家に帰る。話を切り出そうとするが、先に、”私はもう一度看護師の仕事がしたい!!”と妻が切り出す。
”何を今更働かないといけないのか?”妻の心中をジックリ聞く事もせずに頭ごなしに叱りつける夫。自分の母の看取りを出来なかったことと、もう一つ夫には言っていない理由、ガン検診で再検を言われて(結果は良性の腫瘍だったが・・・)自分の生き方を考え、結婚を機に止めていた看護師、それも家での看取りのお手伝いをする緩和ケアーの看護師になることを決意する。
夫の一方的な考えに、佐和子は家を出て一人住まいを始める。アタフタと娘(小池 栄子)の所へ電話を掛けて佐和子の事を聞くが”お父さん、お母さんは優しい言葉が欲しいのよ、夫婦だから言わないでも解っている・・・それではお母さんが可哀そうよ”と娘は居場所を教えない。
留守中に身の回りの物を持ち出し、離婚届と指輪を置いていく佐和子。
恋人との問題で悩む新人運転手、小田(中尾 明慶)。”お前は運転手に向いていない”と説教する徹。
或る日、佐和子がケアする患者信子(吉行和子)が行方不明になる。徹と小田が乗車する電車が雷の為に送電不能で山の中で停まってしまう。
その列車に孫の皮膚病に良い薬草を取りに行った信子が乗り合わせ、発作を起こして苦しむ。身に付けていた名札に【看護師 滝島佐和子】の名前を見つけた徹は佐和子に電話をする。
車で駆けつける佐和子。崖をよじ登る手を確りと支える徹の手。手際良く処置をする佐和子を見て、徹は心を決めて離婚届を提出、想い出の展望台から、二人の指輪を放り投げる。
遂に来た最後の乗車日。保線員・駅員に別れの挨拶をしながら、立山を背景に列車は走る。踏切の所では娘夫婦が、手を振って見送ってくれている。
終点に着き、乗客に”ご乗車有難うございました”と頭を下げながら、降車口へ歩む徹。そこには、約束通り乗ってくれていた妻の佐和子が。
列車を降りた徹に”長い間、お勤めご苦労様でした”とねぎらう佐和子。
”最後にもう一つ、僕の願いを聞いてくれないか・・と指輪を出して”結婚して下さい”と頭を下げる徹。
最終地点が二人の新たな旅立ちの出発地点。大好きな富山電鉄のハンドルを今日も握り続ける徹でした。
【見終わって】前回のRAILWAYは50歳になったエリート会社員、中井 貴一が運転手になりたいと転職する話でしたが、今回の第2弾も心ホノボノ、夫婦のちょっとした言葉不足”優しい言葉、自分の話を真剣に聞いて欲しい妻と、長らく一緒に住んでいる夫婦、今更口に出さなくても、心の中を察することが出来るだろう・・”と表現の不器用な夫”シニア世代になってから、外へ目を向ける佐和子の強い生き方、患者さんに接する佐和子の本心の生き方を見て覚悟を決める徹。
最後はHAPPY ENDですが、思わずウルウルと泣き出してしまった心優しい映画でした。
2011年11月26日(土) 【家族の庭】   テアトル梅田  
【カンヌ映画祭】【アカデミー賞】でも評判の高かったイギリス映画。穏やかな色彩と普通の生活が普通のペースで流れた2時間10分
【あらすじ】地質学者を引退した夫トムと医学カウンセラーの妻ジェリー、其々に心穏やかな日々を送る二人。
休日には畑仕事で汗を流し、夫が料理を作り、二人でワインを楽しむ。一人息子のジョーは心優しい青年弁護士。
そんな二人の家を我が家の様に駆け込んでくるジェリーの同僚メァリー。心の鬱積をお酒とタバコに逃げる。又トムの兄は妻を亡くし心をカラッポに。
春夏秋冬、畑の実りは続きトムとジェリーの家に集う人々は、二人の姿に共に喜び、癒され、悲しみは二人に救ってもらって半減に。
【見終わって】此処が盛り上がった・・・というシーンがあるでなし、涙を流すシーン、大笑いのシーンもなくて、ただただ、ゆるゆると穏やかな日々が流れて行く。【日々惟好日 ひびこれこうじつ=そのままで良しとする】、由起先生が仰る【平々坦々】の生き方が表現されていると感じました。・・
穏やかなジェリーにフット包まれた様な穏やかな後味の映画でした。
2011.10.15(土)シネマ歌舞伎 【一の谷 嫩軍記 熊谷陣屋】いちのたにふたばぐんき くまがいじんや

【制札 せいさつ】この花は 中国江南地方に無いものである。 
一枝を盗み折る者は 天永の頃,紅葉を折ると罰せられた例に倣って
一枝を切れば一指を切る 武蔵坊弁慶

この場面では一枝(敦盛)を斬るならば一指(小次郎)を斬れ・・後白河法皇の子である敦盛の命を助けよ・・と解釈している。
坂田藤十郎=直実の妻 相模(さがみ) 中村富十郎=弥陀六(みだろく  元平家の武士)
今年の秋に、人間国宝に認定された【中村吉右衛門】さんが、平成22年4月、東京の歌舞伎座のお別れ公演で演じられた【熊谷陣屋】の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)がシネマ歌舞伎になる・・と紙上で見た時から、是非見たいと思っていました。
以前,2008年7月6日七月大歌舞伎で仁左衛門さんが演じられた舞台を拝見したことがありますが
豪快な立ち役の吉右衛門さんが演じられる直実も是非拝見したいと公開を待っていました。
(あらすじは上のをクリックして下さい。
恩ある若様の身替りに我が子を差し出す・・世話物は歌舞伎の世界ではよくあるお話です。
制札(せいさつ)を持って豪快に見得を切る吉右衛門さん、敦盛の首と偽って、我が子(小次郎)の首を差し出した吉右衛門、心情を察する源 義経は、間違いなく平 敦盛(たいらのあつもり)である・・と首実験をする。
武士を捨て義経にいとまごいをして、小次郎の菩提を弔う為に僧形になって花道を去る吉右衛門、式幕が閉まった前で、立ち三味線の人が弾かれる厳かな音色。 わらじの紐を締める振りをしてかがみこみながら、肩を震わせて、声を出さずに嗚咽する直実。
以前見ているのに、やはり涙は止まりませんでした。
一度シネマ歌舞伎を見てみたい・・と仰っていた弥次さん・英子さん、そして静子様(シネマ歌舞伎でもイヤホーンガイドの貸し出しがありましたので、静子様も楽しんでおられた様子でした。)とご一緒しました。
*備忘録 飛んで行って欲しいページを紹介する方法。
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2011年10月9日(日) 吉野山金峰山寺(きんぷせんじ)奉納歌舞伎
会社のお得意様が毎月刷られる【金峰山寺時報】。吉野山のお寺、親しみも有って目を通しています。
8月号に乗っていた写真、仁左衛門さんが奉納歌舞伎をされるとのこと。生協ではこんなお知らせは無かったので、
イベント会社へ直ぐに申し込みました。嬉しいことにチケットはOKとの事。吉野の義妹は生憎と用事があるとのことですし、いつもの歌舞伎のお仲間も都合が悪く、、一人で観に行きました。吉野までの特急券も10日前には購入、ドキドキワクワクのHighな気持ちで出かけました。
何度もお参りした金峰山寺、果たしてどんなふうに舞台がしつらえられているのかも興味シンシンでした。
近鉄電車、終点の【吉野山駅】で下車。其処から5分ほどでケーブルの乗り場があります。以前たった一人で不安な気持ちで乗ったことがありますが、今日は【こんなに乗って大丈夫?】と言う位にギュウギュウ詰め。入口でカウンターを持った人がカチカチ計数しておられたので、30人位?乗っても大丈夫でした(往復600円也)。5分ほどで山頂駅に到着。そこからバスで数分。徒歩で行かれる方もかなり多いです。(片道170円、帰りは運行していません)
6:00開場。私は【正面四本桜席12列6番】かなり良い席です。がパイプイスなので、お尻が・・・。
冷え込みも厳しく、持って行ったストールを直ぐに肩にかけて。皆さん、防寒具をお持ちでした。
開演前に、数枚パチパチしましたが、初めてのカメラ(娘から譲り受けたLUMIX)性能は良くても、写し手に技量が無ければ・・
開幕は【蔵王権現の僧、8人が舞台上でホラ貝を吹かれる】事から始まりました。
本日の歌舞伎は権現様への奉納、主客は権現様で皆様は、お相伴に預かっているのです・・と座主様のご挨拶。
肌寒さはありますが、栗名月(今宵の月はそう呼ぶのだそうです)が煌々と空に輝き、木々の葉を揺する風の音も耳に心地良い程度。
短いながらも花道もあり、揚げ幕もある。さすがに正面の引き幕、緞帳迄は作ってない。
【藤娘 ふじむすめ =片岡孝太郎】これは日舞でも良く舞われる王道の舞踊。引き抜きで衣装が変わる、華やかさも見所です。
【連獅子 れんじし=片岡仁左衛門・千之助】祖父と孫で踊る!!先にテレビでおけいこ風景などを見ていましたが、やはり目の前でお二人が踊られるのは感激でした。お爺ちゃんを目標に確りと力強く、くっついて行く11歳の千之助くん、厳しさの中に、優しい慈愛の眼差しで見守られる仁左衛門さん。練習風景では楽に演じる方を選ばずに、難しいやり方の方を自分で選んだ・・・とお爺ちゃんの誇らし気なコメントも有りました。
実際その通り、獅子の長い髪を一足一足間に挟んで後ずさりする・・成功でしたよ。かなりの重さがある獅子頭の毛振りも上手でした。
きっとお祖父ちゃまの息使いを感じ取りながら、右へ左へと振っていたのでしょう。満点だったと思います。
私もそうでしたが、廻りでも涙を拭いている人が・・・
劇場以上に大向こうの掛け声が夜空に響きます、”御両人”  ”島屋”(ツウになると松島屋の松を省略するらしいです・・)”】
以前勘三郎さんが両脇にお二人の息子さんを連れられての連獅子を見て感動、泣きだした事がありましたが、今日の祖父と孫の舞台には”今迄こんなの観たことが無い!!”と感動に大きな拍手が鳴りやみませんでした。三味線・鼓・笛の奏でる音色も謡の声も、劇場のようにこもることは無く、お山に吸い込まれていく・・・とっても心地良く届きました。
*下の画像は、先月、テレビで放映された静止画像を写したものです。

普段は19:30で運行が終わるケーブルも21:30最終に、ケーブルでは人数が限られますので、臨時のバスも運行されていました。
私は帰りもケーブルに。桜の季節にケーブルに乗ったことが無いので混雑ぶりは想像出来ませんが、
本日の【奈良フェスティバル2011】。  観客はツアー客も含めて、1000人近いのでは・・・と言われていました。
静かな吉野山に素晴らしい【世界遺産の芸能=歌舞伎】が舞いおりて、権現様に奉納し、お慰めする。
素敵な機会に参加出来たことがとても嬉しいです。予約していた21:45の特急券を21:05に変更して頂き、23:00に帰宅しました。
2011.9.19  シネマ文楽【冥途の飛脚 めいどのひきゃく 】  テアトル梅田
9月17日〜9月30日、一日一回AM10:00上映モーニングショー
昭和54年、京都太秦の撮影所に本格的な舞台セットを作りあげて、撮影された。
監督:マーティ・グロス(カナダ) 音楽監修:武満 徹 撮影:岡崎 宏三 
人形遣い 忠兵衛=吉田玉男  梅川=吉田蓑助 八右衛門・孫右衛門=桐竹勘十郎
私が文楽に興味を持ったのは、、頭使いの吉田玉男さんの凛とした舞台姿に惹かれたのが最初です。
(2006年9月24日に87歳で死去)1999年、80歳の玉男さんの遣われる人形。ご本人は表情一つ変えられずに、冷静沈着に正面を向いておられるのに、その手で遣われる人形には魂が吹き込まれ、命あるもののように、感情たっぷりな所作で観客を魅了する。
あらすじは、歌舞伎、【封印切り】【恋飛脚大和往来】で観たことがありますし、文楽でも観た事があります。
あの玉男さんに出会えると期待して、パソコンでチケット予約をして行きましたが、期待ハズレというか、32年前、玉男さん60歳の時の撮影。
下の画像の通り、凛とした姿勢は見られますが、私が期待していた、白髪のあの玉男さんでは有りませんでした。
グイグイ引き込まれながら、時には歌舞伎ではこの場面にはあの役者さんはどんな演技だったかなあ・・・と人形と役者さん、二人を想いながら、ハンカチを握りしめた1時間半でした。(画像はNET検索から拝借しました)
2011年9月3日  松竹大歌舞伎 平成23年度全国公立文化施設協会主催  西コース
心配された台風の影響も無く、敦子さん、オリ−ブさんとご一緒に、大好きな孝夫さんの歌舞伎を観に行きました。
チケットは敦子さんが加入しておられる【歌舞伎の会】で手配して下さいました。
岸和田に、こんなに素敵なホールが有ることは全然知りませんでした。建物も新しく、館内も広々と、音響効果も良く勿論花道もあって素晴らしい会場でした。1階の前から11列目の席、前後のイスの間隔も広くて落ち着きました。
【雨の五郎】長唄の舞踊です。目下売りだし中の片岡愛之助さんの曽我の五郎が遊女から送られた恋文を手に、いそいそと廓へ行きますが、心中、父の仇討をも胸に秘めた豪気さと恋人に合いに行く若者の華やかな心が剛・優、表情に,振りに上手く表現された素敵な舞踊でした。
【義経千本桜】最近は孝夫さんの艶やかな舞台よりも、汚れ役、悪役を見る事が続きました。
今回も最初の内は、ゆすりや母親のお金をせびるゴンタクレの【いがみの権太】の役どころです。
【第一幕】身を隠している維盛を探して、奥方、子息は供侍、小金吾を伴って旅を続けている。
子息の具合が悪くなり小せんの茶店で一休み。親切な小せんが息子と共に近くの医師の所へ薬を貰いに言った留守に、、権太があらわれ、子息に木の実を取ってやり、親切な愉しいオジサン振りで場を賑わし、直ぐに自分の荷物を持って先を急ぐ。
小金吾の荷物と間違えた事に気付いたとすぐに戻ってくるが、先に間違いに気付いた小金吾が権太の荷物をほどいたことに因縁をつけ、自分の荷物には20両のお金がはいっていたとゆすりを掛け小金吾からまんまとお金をせしめる。薬を持って戻った女房は、苦笑いしながらも見過ごす。そんな権太にも子供に対する優しさがあり、懐から笛(あんまの笛)を取り出して子供に与え、3人仲良く手を繋いで家へと帰る。
一方、追手に追われて、小金吾は討ち死にをする。(この捕っ手の場面は、縄紐を沢山使ってまるであやとりのハンモックに乗っかるような愉しい立ち廻りの場面も有りました)。
偶然夜道で小金吾の遺体を見つけた権太の父、弥座衛門はその頭を切り落として持ち帰り、寿司桶に隠しておく。
これで捕り手に差し出す偽の頭が出来たと、内心胸をなでおろす。
【第二幕】権太の父弥座衛門の鮨屋で職人の弥助に身をやつしている平維盛(たいらのこれもり)に恋心を打ち明ける権太の妹、お里。
或る夜、維盛を探し求めて奥方、子息が一夜の宿を・・と鮨屋を訪ねて来る。
妻・子と驚きの再会を果たす維盛。  事情を察した権太の妹お里は3人を隠居所へとかくまう。
権太は褒美を目当てに維盛の頭(実は小金吾の頭)と、くつわを嵌めた奥方と子息(大きなくつわを嵌めているのは、権太の女房と子供を身替りに使っているので、捕り手に偽者と見破られないようにする為なのです。縛られた二人の出の合図に、権太が子供に買ってやったあんまの笛が使われる・・このニ点で自分の女房と子供を身替りに使っていることを観客に伝えているのだそうです)を縄で縛って梶原景時に差し出す。 維盛を守って来た権太の父、弥座衛門は怒りの余り、権太を刺す。
実は改心した権太が寿司桶に入っていた小金吾の頭と我が妻(小せん)・子を差し出したのである。
歌舞伎に良くある、”主家の為に偽物の我が妻子を差し出す”お話。前半のゴンタクレの悪党ぶりの滑稽な部分が強く表現されているだけに、最後の改心した場面には涙が止まりませんでした。


いがみの権太=仁左衛門

平維盛と権太の女房小せん
の二役=
秀太郎

権太の妹、お里=
孝太郎

権太の父、弥座衛門
坂東弥十郎

権太の母=
坂東竹三郎

平維盛の奥方
市川高麗蔵 こまぞう

供侍 小金吾=
愛之助

梶原景時=
坂東薪車


浪切ホールのすぐ横には浪切神社があり【だんじり祭りの安全祈願】の大きな碑が立っています。
下の真ん中の画像はホールの横の水が流れるモニュメントスロープです

9月、だんじり祭りが行われる岸和田の町は、商店街にもお囃子の音楽が流れて活気に満ちていました。
2011年8月16日 映画 【一枚のハガキ】  テアトル梅田

【左2枚】パンフレットの写真と新聞の切り抜き     【右2枚】まるでXmasの様な街路樹のイルミナネーション
【あらすじ
上官のクジ引きで運命を決められた100人の兵隊さん。フイリピンに送られることになったひとりの兵、森川定造から妻、友子(大竹しのぶ)からの一枚のハガキ「今日は お祭りですが あなたがいらっしゃらないので 何の風情もありません」を託された松山啓太。俺は戦死するだろう から、お前が生き残ったら、ハガキは読んだと妻を訪ねてくれと依頼された。終戦になり100名の内、生き残ったのは松山啓太ら6名だけ。
友子は定造の戦死後,舅姑の願いを受けて義弟と再婚するが、その義弟も直ぐに戦死。舅は二人の息子を追う様に心臓の発作で亡くなる。床下に隠したお金が有ることを友子に伝えた夜、姑も縊死。そのお金で姑の葬儀を送った友子は一人で唯戦争を呪いながら生き続ける。
生きて帰った松山啓太(豊川悦司)は嫁と父の逃亡を知り、生きる望みも持たないままに家を売ってブラジルへ行こうと決める。
荷物整理をしていた啓太は戦友、定造から託された一枚のハガキを見つける。はがきを持って友子を訪ねた啓太は”上官が引いたくじで人の生死が決められた。定造が死んで、なんであんたは死なないの”と怒声を浴びせながら詰め寄る。が定造の話を聞きたいと啓太を引きとめて、心を溶かしていく友子。一緒にブラジルへ連れて行って・・と家を捨てる事を決めるが、家に火を付けて去ろうとした時に、心が揺れて火の中に飛び込もうとする友子を抱えて火から逃れた啓太。日本から逃げる事を止めて、一粒の麦から育てる事を決意して、その土地を耕しながら生きて行く啓太と友子。
【観終わって】
99歳日本最高齢の映画監督、新藤兼人が映画人生最後の最高傑作を生み出した、と批評されている通り、戦争に狩り出された人間のもろさ、戦争を起こす愚かさを一枚のはがきを通じて描かれた、心優しい映画でした。
【世話焼きおばちゃんのアクシデント】
16時45分からの上映分を観るつもりで16時20分に映画館に到着。100席のチッチャナ劇場。立ち見席以外は完売でしたので、19時上映分のチケットを購入。取りあえずは食事。お店の人に気がねをしながら、1時間半ほど食べてしゃべって。陽も陰って、風も涼しくなってきたので、劇場の傍のベンチでおしゃべりの続き。二人の前を通lり過ぎた浴衣姿の娘さんに目が点状態。後ろ姿の帯び、斜め一文字のグサグサで、今にもほどけて来そう。
それよりも玉枝ちゃんが”あの娘、打ち合わせ逆じゃなかった?”と言い出しました。私は、はっきりとは観ていなかったのですが、帯がどうしても気になり、おせっかい虫がうごめきだしました。
ベンチから50メートル程先のMBSビルに入っていく姿を見かけたので”玉枝ちゃん、荷物見ていて。私チョット気になるから、あの子を追っかけるわ・・・”
休日で人気の少ないMBSビルの中をアチコチ探しましたが見つかりません。此処で見つけられなかったら仕方無い・・・化粧室の扉を開けて彼女を見つけた時は、ホットしました。  帯が解けてしまったのか鏡の前で困った顔をしている子。
”ごめんね、おせっかいさせて貰っていい?私も着物が好きで良く着るんだけれど、貴女の姿が気になったので、探していたの。”
前へ行って確認すると、玉枝ちゃんが奇妙に感じた通り、打ち合わせが逆前になっていました。。
”おばちゃんに、着付けをさせて・・・”着物はコーリンベルト一本でグサグサ。幸い二人の他には誰もいない化粧室。
駅のフィッティングルームで初めて浴衣を着たそうです。カバンの中には買ったばかりの腰紐も入っていました。
”おばちゃんの結び方、きついかもしれなので、言ってね。”久しぶりに若いお嬢さんに着せつけて帯も可愛らしく,変わり蝶結びにしました。
可愛い顔のお嬢ちゃん。浴衣は黒地に可愛いナデシコの花模様・帯はナデシコの花の色に合わせたローズ色のグラデーション。
”せっかくの浴衣と帯が、あれでは可哀そうよ。ハイこれでOK”とポンと軽く背中を叩いて、玉枝ちゃんの所へ戻りました。
中々帰って来ないのでどうしたのかな・・と案じていてくれた玉枝ちゃんに一部始終を話しておせっかいおばちゃん二人は顔を見合わせて、ベンチを立とうとしましたら、スッキリした彼女が私を見つけて再度お礼を言ってくれました。
”良かったね、綺麗よ!!”二人のおせっかいおばちゃんの言葉に”友達が待ってくれていますので・・・”嬉しそうに小走りに行きました。
2011年8月6日   明治大学マンドリン倶楽部演奏会
第30回大阪公演  NHKホール  17時開
友人の玉枝ちゃんに誘って頂きました。明治大学のマンドリン倶楽部は故古賀政男先生のご指導で世界的にも有名です。大正12年に設立、創部130年を迎えます。
マンドリンの演奏会は始めてですし、NHKホールに行ったのも初めてです(地下鉄 谷町線 谷町4丁目下車。徒歩5分です)
凄い迫力のある演奏に酔いしれました。
第一・ニ部は、司会者も演奏者も皆、学生服。とっても幼く見えました。女学生も5・6人はいました。
【第一部】常任指揮者、甲斐靖文先生の記念曲と津軽組曲 マンドリンの音がまるで津軽三味線の様なダイナミックな音を奏でます。
【第二部】演歌歌手 香西かおりさんのバックバンド演奏。(演歌の伴奏。この部は好きでは有りませんでした)
【第三部】名曲アルバム。タイタニック野)主題歌、人生の並木路、70年代の青春フォークポップス21曲メドレー、人に聞こえないように心の中で20曲総てハミング出来ました。ラテンの曲もマンドリン演奏にとても良く合っていてとても楽しかったです。
最後はプログラムの裏表紙に書かれていた♪ふるさと♪を演奏に合わせて大合唱しました。
初めてのマンドリン演奏会、とっても楽しかったです。
2011年8月1日  文楽サマーレイトショー  国立文楽劇場 pm6:30開演
 
心中宵庚申(しんじゅう よいごうしん)   作:近松門左衛門70歳 最後の世話物
 好きだった吉田玉男翁(2006年9月死去)の凛とした舞台が見られなくなって以来、文楽座にはトントご無沙汰でした。
 “夕方6時半開演なら、会社が終わってからでも間に合うし・・・”英子さんのお誘いに喜んでご一緒させて頂きました。
【あらすじ】夫,半兵衛が墓参の旅に出ている留守中に、意地の悪い姑に縁切りされて実家へ戻された千代。
父・姉はそんな千代を不憫に思い、沈んでいる千代を優しくいたわる。そんなことを知らない半兵衛は墓参の帰りに千代の実家へ挨拶に寄る。
打ちしおれている千代を観て驚く半兵衛。自分の口から言わずに養母に離縁をさせるとは・・・元武士の半兵衛が何と情けないことを・・となじる姉おかると父。自分の知らないことだと言えば、養母の悪口を言うことになるし・・
とにかく千代の事は責任を持つ、と千代を連れて帰る。二度と戻るな・・の意味を込めて父は」”水杯  みずさかづき・門火  かどび”で二人を送りだす。
姑の意地を考えて、家には入れずに従兄弟の家に身を置く千代。姑は口やかましゅう朝から晩まで小言を言い続ける。
実の甥がいるのに、半兵衛を養子に迎え入れてくれた養母に恩義を感じる半兵衛。
”姑去り  姑が嫁を追い出すこと”では世間の非難が養母に向かうので、忘恩にならぬ為にも、自分の手で離縁すると皆に聞こえるように言って(その時には半兵衛も一緒に家を出る心になっている)、宵庚申( よいごうしん  この日は夜通し起きていないと、悪いことが起こると言われている)の日に二人で家を出て、生玉にある、大仏の勧進所に辿りついて心中する。
(1722年4月に大仏勧進所であった夫婦の心中事件を、近松門左衛門が家族制度のゆがみ・問題ととらえて文楽の本に仕立てたものです)
【感想】上田村の段(千代の実家)・八百屋の段(半兵衛の店。姑のこぼしの場面)・道行思いの短夜の段の3つの段で形成されています。
第1と第2の場面は大夫・三味線が各一人
。無形文化財に選ばれたような人の登場です。
あらすじを語る大夫(たゆう)さんの表情、特に第二場の大夫さんは立ちあがらんばかりの語り・汗を吹き飛ばしながらの語りで姑の根性悪さ、ブツクサ小言を言うのをを面白可笑しく語られる。
その台詞は(床本 ゆかぼん )舞台の上に字幕で映し出されるので、この文字はなんと語られるのだろう?と興味を持ちます。
又人形遣いの人(主遣い  おもつかい)は裁縫の場面では一針一針、針を運ぶ細かな所作をも美しく操られます。
足を遣う人の高下駄で力強く舞台を踏む音も3人の息がピッタリと合って心地良い。
最後の心中のシーン、お腹に身ごもっている子供にも供養の読経。本当に涙を流しているような細かい眼の表情、千代とお腹の子を庇う様に、その上に覆いかぶさって千代の手を握りながら息絶えて行く半兵衛。人間以上に感情のこまやかさを表現される遣い手の素晴らしさ。
人形に細かな感情を表現させながら、遣い手は眉一つ動かさない。素晴 らしい作品に出会えました 
2011年7月14日  七月大歌舞伎 夜の部  松竹座
関西歌舞伎を愛する会、昨年も観たので、今回は、生協のチケット申し込みもしていなかったのですが、応募したことを忘れていたマインドのチケットが当たったので、午後から早退して、敦子さんをお誘いして行きました。
舞台の上は、夏のしつらえで襖で無くてお部屋の仕切りは涼しげなのれん、籐のついたて、涼しげな舞台が目を惹きました。
お弁当は敦子さんのお手作り。
酢のもの・ヒジキなどの煮物・茹でトウモロコシ・海老・卵焼きと、彩とりどりに美しい美味しいお弁当、ご馳走様でした。
【菅原伝授手習鑑 車引 すがわらでんじゅてならいかがみ くるまひき
松嶋家の三兄弟長男、我當さんの長男、進之介=松王丸、二男秀太郎さんの養子、愛之助=梅王丸、そして三男仁左衛門さんの長男、孝太郎=桜丸。
三つ子の3兄弟の役を従兄弟3人が演じる。
従兄弟の競演。見応えが有りました。
【伊勢音頭恋寝刀 いせおんどこいのねたば】
家老の息子、今田万次郎(秀太郎)、後見役、佐膳(我當)、元今田家に仕える武士で今は伊勢神宮の神職、福岡 貢(仁左衛門)の三兄弟の競演。
秀太郎さんの万次郎役は、もう一つ・・・だなあと内心思っていたが、場面が進んだ廓【油屋】の場面に出てきた意地の悪い仲居、万野。見事な演技達者の秀太郎さんが二役をしておられたんです。。
仁左衛門さんはこの前の油地獄の与兵衛がダブッテしまうような、二枚目の凄惨さが際立っていました。貢の恋人役、芸者お紺(中村時蔵)さんの美しさは、何時に変わらず見事でした。
【赤の折り襟】敦子さんに教えて頂いて気が着いたのですが、抱え遊女、お紺・お岸・お鹿さんの襟の部分が折られて赤い襟が見えています。
今迄気付かずに見過ごしていたのでしょうが・・・NET検索しました。
【太夫の赤襟】昔、島原の太夫は正五位の位を持ち、天皇にもお目通りを許される身分であったので、【禁色であった赤色】をほんの少しでも身につけて自分の位をアピールしたそうです。
2011年6月26日 シネマ歌舞伎 【女殺 油地獄  おんなごろしあぶらじごく】 主演:片岡仁左衛門

放蕩息子の与兵衛

仁左衛門さんと孝太郎さんの父子の息もピッタリ合って。
【あらすじ】放蕩息子の与兵衛(仁左衛門)は家業の油屋を手伝うこともせずに遊興三昧の毎日。自分の借金返しなのに、叔父から借金を頼まれたと嘘をついてお金を持ち出そうとする。その叔父、森右衛門(坂東弥十郎)は昼間与兵衛がけんか相手に投げた泥が叔父の主にかかって、その責をおって浪人になる。このことを知った与兵衛の兄、太兵衛(大谷 友右衛門)は与兵衛を勘当するようにと両親に言う。
気丈な母、おさわ(秀太郎)義父、徳兵衛(歌六)は勘当するが、もし困って訪ねてきた時には・・と、豊嶋屋の女将、お吉(孝太郎)にお金を預ける。やって来た与兵衛はそのお金を受け取るが、借金の返済額には足らず、お吉に借金を申し込む。が断られ、それでは油を売って欲しいと詰め寄り、それも断れた与兵衛は油桶を持ってお吉を追い回す。油まみれになりながら逃げるお吉、追っかける与兵衛は遂にお吉を殺してしまう。
(画像はパンフレットをスキャニングしました。)
孝夫さんの悪役は殆ど見たことが無いので、今回の凄惨な演題にも腰が引けたし、ニヒルな悪役の孝夫さんを、観ようかどうしようか・・とッチョット戸惑いも有りましたが、
“二度と孝夫さんでは観られないわよ・・”の敦子さんの言に、休みが同じの珊瑚会の玉枝ちゃんを誘ってナンバパークスへ行きました
【観た後で】芸者を追っかける、遊興息子の軽妙さとお吉を追っかける凄惨な顔、仁左衛門さんの洒脱な面とニヒルな面の演じ分けが凄いと思いました。息子の孝太郎と孫の千之助(お吉の子供 お光)、父・子・孫、三代が顔をそろえる場面も有って愉しかった。
仁左衛門に追っかけられて逃げ惑う孝太郎、身体を弓なりに反らせる見せ場が何度かあり、今迄に見た孝太郎さんとは別人のように感じました。
舞台に撒かれた油、本物を使うことは出来ないので水を使っているのだと思いますが、本物の油に足を取られているような見事なお二人の演技、着物もビショビショ、油まみれになっていました。
2011年5月14日バレー映画に惹かれています。
   ブラックスワン        TOHO CINEMAS スクリーン5
前評判の高さが本当なのか・・・チョット“えぐい”表現もあるので(R15)15歳以上の年齢制限があるのも頷けます。
第83回アカデミー主演女優賞に輝いたナタリーポートマンは純真無垢なホワイトスワンから官能的・邪悪なブラックスワンまでをプレッシャーに押しつぶされながらも幻覚と妄想に悩まされながら見事に演じる。
最後には幻覚から自分の体を自分で傷つけてカーテンコールの中息を引き取る。
【白鳥の湖】の主役を夢見てバレーに励む沢山のダンサー。昔ダンサーだった母親の執念で息苦しささえ覚えるニナも主役の座を狙って毎日爪がはがれてしまうほどの過酷な練習に励む。
清純無垢な【ホワイトスワン】には監督も認めるニナですがセクシーさ・妖艶さ・邪悪さの表現が必要な【ブラックスワン】の表現が足りないと監督から、成熟な女性を体で覚える事を説得される。
プリマドンナを望む厳格な母への反発、ニナを蹴落とす為に友人が勧めるお酒と麻薬の味にプレッシャーを忘れようとするニナ
幻覚・妄想に落ち込み、自分の体をかきむしったり、母親と口論したり精神に異常をきたすまでに陥るニナ
遂には主役の座を奪われると鏡に映るライバルを刺してしまうが、これは幻覚で、実は自分の体を刺している。
舞台でのホワイトスワン・ブラックスワンの踊りは完璧。客席で大きな拍手を送っている母の姿を認めたニナ
塔の上から身を投げるクライマックスのシーン。白いドレスには血が滲んでいて監督のキスを受けたニナは静かに目をつむる。
前日の午後に土休が決まり、GWにやれなかった衣替え、入れ替えをしました。とっても良い天気でしたので、毛布の洗濯も・・
ナンバで夕方5時の約束の用事が済んだのが7時過ぎ。映画館へ行きますと1階の掲示板には【ブラックスワン】の欄には×印。
では◎がついている、【岳】を見ようかなあと、劇場の有る8階のチケット売り場で”もうブラック・スワンはダメなんですね・・”とダメモトで確認しますと“お一人ですか?最後の1枚が残っています。B−16しかありませんが”とのこと。前席すぎですが、選ぶことは出来ないのでそのまま最終8:45のブラック・スワンのチケットを購入しました。
さすが話題作、若いカップルが満杯です。
前回観た、草刈民代さんもそうでしたが、鍛え抜かれたダンサーの身体と表現に魅了されました。
ただ、清純なホワイトスワン→官能的・妖艶なブラックスワンを演じる為に自分の生き方・考え方迄引っくり返す・・・
そんな為に幻覚・妄想と麻薬の禍で騒乱したり、間違った、無軌道な性を体験したり・・・目をそらしたい様な描写迄、果たして必要だったのか、疑問が残りました。
観て得をしたという気分でもありませんが損をしたとも思いません。バレーはとっても美しかっただけに、えぐい性描写が残念です。
【画像は総てNET検索から使わせてもらいました】
2011.4.30  心の栄養はしご補給      梅田から天満橋
28日(木)に30日(土)も休業にすると決まりましたので、4月29・30・5月1日の3連休と決まりました。
友人のトンコのコーラス(4月30日)も行けルカどうか解らないけれど一応チケットだけは・・と購入していました。
30日もお休みと決まったので、玉枝ちゃんを誘って、午前中には気になっていた映画を梅田で、そして午後からはトンコのコーラス会を天満橋のドーン・センターとハシゴしました。


ダンシングチャップリン
テアトル梅田   周防 正行監督   ルイジ・ボニーノ 草刈民代
世界で唯一チャップリンを表現できる名ダンサー、 ルイジ・ボニーノと草刈民代によって、数々のチャップリンの名作をすてきなバレーダンスで、最高のエンターテインメントの映像で感動を与えられました。
Shall we ダンス?の時の冷静で表情を出さない草刈民代とは違ってとっても熱い練習と演技、美しい表現から生み出されたバレエ映画に酔いました。
【許 栄夏 きょ えいか】ソロコンサート  ドーンセンター7Fホール
数年前にも聞いたことのある友人、トンコ達のコーラスを指導される許先生のコンサートです。
お腹から発生される凄いPOWERのお声。会場が震える程の声量に、割れるばかりの拍手を送りました。
同級生が、ピンクの美しいブラウスと黒のロングスカートで舞台で唄っている姿、韓国歌曲の【懐かしい金剛山 クリゥム クムガンサン】を舞台裏で朗読したのも声でトンコだと分かりました。パパ様は偶然隣の席で奥様の晴れ姿を笑顔でご覧になっていました。
2011年3月26日  【英国王のスピーチ】  TOHO CINEMAS スクリーン6
公開されたときから、【ゴールデン・グラブ賞、アカデミー賞】候補作品にノミネートされている素晴らしい作品と、とても前評判が高かった作品で、観たいなあ・・・と思っていた作品でした。実際に数々の賞も取った作品です。
由起先生が観に行かれて、前評判にたがわぬ良い映画だったと、リポートを書いて下さっていましたので、体調が良くなるのを待って行ってきました。
【あらすじ】
吃音があって、父王ジョージ5世の代理スピーチも満足に言えずに落ち込むヨーク公アルバート王子を支える妻エリザベスは一人の言語聴覚士、【オーストラリア人のライオネル・ローブ】を訪ねて、自分の夫の吃音治療を頼む。
“仕事を変える方法もある”  “それはできないのよ”
夫が英国王子で有ることを明かすが、“私のやり方で良いのなら、本人を此処へ連れて来て下さい”とあくまでも自分の姿勢を崩さない。
エリザベスに連れてこられたアルバート王子。互いの呼び名は“愛称のバーティとライオネル”として行こう・・と王子だからと特別扱いをしない治療振り。
4,5歳頃迄、乳母に兄エドワード王子と比較されて虐げられていた・・心の底のストレスが有った事も分かってくる。
緊張を解きほぐす方法・・・歌にあわせて言葉を出す、およそ人前では言えないスラッグを口に出して言う・・・
砕けた環境を作り、心の枷(かせ)を一つずつ解きほぐしてゆく。
後世【王冠を捨てたKINGとシンプソン夫人の恋】と取り沙汰された兄ジョージ8世がわずか1年で王位を捨てた後、故父ジョージ5世を継いでジョージ6世として王位に着く。
ウエストミンスター寺院での王位継承式。王はライオネルに列席を依頼する。
言葉に詰まりながらも無事戴冠式は終わる。
ドイツの戦線布告のヒットラの名演説振りを見つめる国王。
ライオネルをマイクの傍に立たせて【大英帝国全土に向けて、国民を鼓舞するスピーチ】を終えたジョージ6世。
なめらかでは無かったけれども、真摯なその呼びかけはキット、英国民の心に届いたと想いました。
【観終わって】
お仕事を終えて一つ雑用を済ませて映画館に到着したのは6:40。
予告編が始まっているので、今準備できる席は、前から2列目の端の席しか・・・
その席で結構ですと、静かに着席しました。丁度映画の題字の所でした。
後援=ブリティッシュカウンシル】とあったので、観る前からなんか一足親近感を持ちました。
英国の公的な国際文化交流機関で総裁はエリザベス女王。
英国留学の情報を伝えたり、留学希望者のお手伝いをする。英語を学ぶコースもあって学校内では総て英語で話すそうです。
日本には東京と大阪に有ったのですが昨年9月18日に大阪校は閉鎖されました。
娘がその大阪校でアルバイトをしていたので、よく耳にしていた名前でした。
戴冠式のウエストミンスター寺院・国民に向けて演説した後に妻エリザベスと娘エリザベス(いまの女王)・マーガレットと共にバッキンガミ宮殿のバルコニーに立って国民の歓呼に応えるシーン。
17年前に訪れた彼の地を想い出して惹き込まれました。
2011年2月6日 【二月大歌舞伎 片岡仁左衛門 昼夜の仇討】


今日のお弁当は高島屋で見繕った
お野菜中心の行楽弁当です。
3種類のおこわを詰めてもらえます。
通し狂言 【彦山権現誓助剱 ひこさんごんげんちかいのすけだち】 五幕九場
1月に続いて半額の生協チケットを申し込んでGET出来ました。【孝夫様大好きの敦子さんとご一緒です】
今月は昼・夜共に仁左衛門さんの通し狂言。シネマ歌舞伎は別として通し物を見るのは初めてです。
11時開演16時まで。2度の幕間休憩は有りましたが、長いお芝居でした。
【物語】剱の達人吉岡一味斎(坂東弥十郎)との試合に負けた京極内匠(きょうごくたくみ=片岡愛之助)は吉岡一味斎の娘お菊(尾上松也)への横恋慕の恨みも込めて吉岡一味斎を闇討ちにして出奔します。
吉岡一味斎の妻お幸(坂東竹三郎)・姉娘お園(片岡孝太郎)妹娘お菊と一子弥三松(4,5歳位の子役)は願い出て仇討状の許しをもらう。   仇を求めての旅は始まります。
長年の仇探しの末、お菊が病んで臥せっている所を許婚、弥三郎(坂東 薪車が探し当てます。
或る日、罪を悔いた・・と二人の前に現れたのは、あしなえのやつれた身なりの京極内匠、吉岡一味斎から奪った巻物を二人に返すと墓地へ同行して、二人を油断させておいて刺殺する。
美しいだけにゾットするようなニヒルな笑いの愛之助。
こんな役は止めて欲しいな・・と想ったけれど、観客に本当に憎い・・と想わせる敵役を此処まで演じられるのは、愛之助としては役者冥利なんでしょうね。
やっと、孝夫様の登場です。剣術の腕は奥義を得るほどの達人ですが、母親の看病の為、その母が亡くなった後は菩提を弔うために田舎暮らしをしている人のよい朴訥なお百姓の毛谷村 六助(片岡仁左衛門)。
老母を連れた諸国を巡る浪人に変装し、剣術試合で優勝すれば士官出来るので・・と六助に勝ちを譲ってほしいと頼み込む弾正。
母孝行だった六助は老母に我が母の姿を重ね合わせて、負けを承知する。
勝利の褒美と共に、衣服を改めた弾正(だんじょうと名を偽った京極内匠)は、有ろうことか、”百姓の分際で、試合に臨むとは、以後のみせしめである”と六助の眉間をを扇子で打ち、傷を付ける。
弥三松を守る吉岡家の家人も京極内匠の雇った山賊に殺される。
居合わせた六助は家人の最後の願いを聞き入れ、弥三松を自宅へ連れて帰り、家の前の干しざおに目印になるように・・と弥三松の着物を干しておく。
其処へ現れた虚無僧、家人の敵と六助に斬りかかる。”おばさま・・”と走り出てきた弥三松。虚無僧は姉娘のお園でした。
一部始終を話した六助に”私しゃ、お前の女房じゃ”と許婚に出会えた喜びですっかりしおらしくなるお園。
お園は女武道のすご腕の持ち主。六助を許婚と知ったとたんにおしとやかな恥じらいを見せる新妻振り。
孝夫様と孝太郎、父子で恥じらいを見せる夫婦役を演じる。ほほえましい。
弾正が京極内匠と知った六助は、再試合を申し込み、偽試合の意趣を晴らしたうえ、彦山権現御田祭の祭礼の場で、お幸・お園・弥三松に見事仇討を果たさせてやる。
【敦子さんの目線】私は気付か無かったのですが、お園の化粧の変化に気付いて教えて下さいました。
娘時代には眉毛があったのに、六助に”私しゃ、お前の女房じゃ”と言った次の出番からは眉をそり落とした既婚者の化粧になっていたそうです。
孝夫様と孝太郎さんの父子での初々しい夫婦。娘役の孝太郎さんをドント受け止める孝夫様の優しい笑顔がとっても素敵でした。
子役、弥三松の思いっきり元気な一声一声も愛らしかったです。
一つの演目を最初から事こまかに分かりやすく筋道立てて進めていく通し狂言。
めでたしめでたしの結末にもホットさせられました。
今日の舞台は、孝夫様が意気込んで演じるのではなくて、自然体でサラリと演じられたので、こちらも息をつめて観る事はなくて、普通に楽な姿勢で笑い楽しませてもらいました。
唯 今回の舞台は、昨年の、海老蔵の代役からとにかく忙しかった愛之助さんが、最初から殆ど出ずっぱりの仇役。
いかにも悪役・・と言った容貌では無くて、見事な美型の役者さんであるだけに、その悪徳非道振りには背筋に悪寒が走りそうでした。
隣の席のご夫婦、旦那様は1月の初春歌舞伎の昼の部を観たのが歌舞伎体験初めて。で、すっかりはまってしまったと仰っていました。
これからは足繁く舞台を観るようにしますと心からご夫婦で歌舞伎を楽しんでおられる様に見受けられました。
通し狂言】 一つ芝居狂言最初から最後まで通して上演すること (コトバンクより)
2011年1月9日 【初春大歌舞伎】 松竹座 夜の部
今年も生協の半額チケットでお目出度い初春歌舞伎を観てきました。
いつもは昼の部を観るのですが、翌日(10日 祝)も休日だし、幸四郎・染五郎親子の競演も楽しみでしたので、夜の部を予約していました。
やはり初春歌舞伎と言うこともあって、着物姿が多かったです。
2階の2列目14番、良い席でした。(ケレンの宙乗りの紙吹雪を一杯浴びました)昨年の【竜馬が行く】の染五郎、あまり好きでなかったので今回も余り期待して行かなかったのですが、嬉しい誤算で掌が痛くなるほど、拍手しました。
【一】八陣守護の城(はちじんしゅごのほんじょう) 湖水御座船の場
加藤清正が家康から勧められた酒を毒酒と知りつつも秀頼を守るために気概で百日も生き続けた・・と言われる流言を題材にした作品。
若君の守役正清、我當は、美しい息子の許嫁雛衣 秀太郎を伴って御座船で安土城へ向かう。
長男我當の力のこもった立ち役、二男秀太郎の美しい女形姿と快い琵琶の筝曲。
毒酒を振る舞った後も変わりの無い正清に、再び刺客を忍ばせた鎧櫃(よろいびつ)を送り届ける北畠当主。見破った正清は一突きで刺客をしとめる。徐々に毒が廻る正清。御座船の舳先に立って周囲を眺める正清と雛衣の姿が艶やかでした。
【二】廓 文章(くるわぶんしょう)吉田屋
廓遊びで勘当になって今は【紙衣 かみこ  若殿や豪商の若旦那が放蕩の限りを尽くし、勘当された落ちぶれた姿を表現する衣装。中国では僧衣として用いられたものが伝来された。舞台では黒縮緬 くろちりめん を用い、手紙・反古紙を貼り合わせたデザインが特徴で文字が散らしてある】のうらぶれたなりで吉田屋の表に立つ大店の若旦那伊佐衛門(坂田 藤十郎)店の当主我當は以前と変わらぬ応対で馴染みの部屋へと通す。
伊佐衛門は花魁夕霧扇雀が病気だとの噂を聞きつけてうらぶれた紙衣で訪ねて来たのです。
どんなにうらぶれても、昔の気概を無くさない若旦那振りのしぐさに笑いと涙をさそう。さすが人間国宝=坂田藤十郎の和芸。
身のこなしの若々しさ、すねたそぶりの可愛らしさ(私よりも10歳年長者。とても信じられない身のこなしの軽やかさ)・・こちらは藤十郎・扇雀との父子の恋人振りにとっても魅了されました。
【三】江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみ あやしのかぎづめ)江戸川乱歩【人間豹】より。演出=松本幸四郎
明智小五郎=松本幸四郎、小普請組の芳之助・恩田乱学の二役=市川染五郎、父子の競演。
2年続きで恋人の商家の娘と女役者=扇雀二役、を殺された芳之助の狂おしい泣き声。
明智の推理に挑戦する鉤爪をもった獣(江戸の闇に産み落とされた哀れな人間豹)乱学との交戦。
レーザー光線が走り、歌舞伎で今迄聞いたことのない音響、爆発音が劇場を揺るがす。
恐ろしい獣のクマドリの乱学は明智の言葉にも聞く耳持たないで舞台狭しと暴れまくる。
最後に、【人間の心を信じよ】と乱学に向かって短筒を放つ小五郎。又会おうと乱学は大凧に乗って花道から二階席まで宙乗り、すごい紙吹雪と共に恐ろしい形相の染五郎が目の前まで・・髪の毛にも着物の中にも嬉しい紙吹雪が一杯でした。【右側の写真は、その紙吹雪を番付けに挟んで持って帰って写した一枚です。】