友代の世界 2 のtopへ戻る  2011年の万華鏡

       2010

2010年12月12日 【宇宙戦艦 ヤマト】を観て来ました。
墓参の帰りに阿倍野で用事を済ませた後、友人と待ち合わせ。
遅い昼食をした後、二人ともファンのキムタクさんの映画を観ることに即決定。アポロシネマで16:30からの上映です。
1974年に放送されたTVアニメ。子供達は釘づけになって見ていたと思いますが私は”佐々木 功さん”の素敵な歌声
♪さらば地球よ 飛び立つ船は 宇宙戦艦  や〜ま〜と♪を聞いていただけで内容は一切知りませんでした。
唯々、キムタクさんの雄姿を観たいだけのミーハー二人。
でもグングン惹き込まれて行きました。
【物語】2199年、正体不明の惑星から送り込まれた無数の遊星爆弾で地球は放射能で汚染され人類は緑の無い地下の壕で肩を寄せ合って忍び寄る死の恐怖に脅かされている。
惑星イスカンダルにはその放射能を除去する装置が有るとの情報が有った・・と一縷の望みを信じた艦長 沖田(山崎 努)の指示のもと地球防衛軍は戦艦ヤマトでイスカンダルへと宇宙飛行を。
尊敬していた兄、古代 守(堤 真一)が駆逐艦ゆきかぜ艦長として火星でのガミラス戦で死んだのは、”沖田艦長が見捨てたから・・”と沖田艦長の指示に反発して営倉に掘り込まれる古代 進(木村 拓哉)。機関長 徳川(西田 敏行)は”若い頃の艦長とお前はよく似ている、決しておまえの兄を見捨てたのではない、沖田艦長の息子も同じ戦艦に乗っていてガミラス艦隊との戦いで戦死たんだ”と進に話す。
アニメには無かった、ツッパリ女性隊員 森 雪(黒木メイサ)とのサッパリシタ恋愛。
見ていても話を壊すようなムーディな恋愛で無かったのが良かった。
【必ず生きて帰る!!】の使命の下、イスカンダルで放射能除去装置を手に入れて宇宙への帰還を急ぐ。
再び現れた敵の襲撃。古代は航海班長 島(緒方直人)に残った隊員と共に地球へ帰還することを命じて一人ヤマトに残り
敵との戦闘へと向かう。
【観終わって】
進が一人でヤマトに残る覚悟を察した雪は”一緒に行かせて!!”と進に詰め寄る。
その雪をかき抱きながら、麻酔銃で眠らせて島に後事を託す・・・ここでハンカチはぐしょぐしょ。
指定席、わたしの左隣は20歳位?の青年。コーラーを飲み、ポテトチップをガサゴソ言わせながらほおばっていました。
チョットうっとおしいなあ・・と思いましたが、映画が上映されて半分位でしょうか、チョットウルウルになりそうでしたが、なんとか鼻をすする事は我慢できましたのに、横の青年は体を震わせて鼻をすすっています。
それからは一直線に声こそ出ませんでしたが嗚咽をこらえているのがこちらにまで、伝わってくるほどの感泣ぶり。
”お前はよう、泣くから一緒に映画に行くのは格好悪い”主人にも、娘にも敬遠されていた私ですが、青年のこんな様子を目にしたのは初めてでした。
”キムタク大好き”の私の推薦では・・・と思われる方もいらっしゃいますでしょうが、格好いい・感動の映画でしたよ。
放射能除去装置で救われた地球、緑の草原で子供を遊ばす雪の姿がENDマークでした。
【下の写真は、パンフレットをスキャンして拝借しました】
2010年12月10日 クリスマス・スペシャルコンサート
聖夜のトランペット PM6:30開演 場所:守口文化センター エナジーホール。
トランペット奏者:レオニド・コルキン(ロシア)ピアノ演奏イリーナ・ポポワ(ロシア)
”トランペット・コンサート行かない?”玉枝ちゃんのお誘い、会社の帰りで間に合うとのことなのでOKと即答。
300名ほどの観客、気取らない普段着のコンサート。演奏される曲目は一度は耳にしたことがある曲ばかりでした。
ピアノ・ソロも見事でしたが、初めて聞いた【生のトランペット】。優しい音を出す時、細くて高い音を出す時、力強い太い音を出す時、(トランペット・ピッコロ・コルネット・ホルン・・4本を曲に合わせて使い分けられます)ビール樽のようなお腹に空気を一杯貯めて吹き出して・・最後のクリスマス・ソングでは手拍子も加わってアット言う間の2時間でした。

クリックして下さい。演奏曲目がハッキリとご覧いただけます。
2010年12月8日 吉例顔見世興行 京都南座
去年の顔見世のチケット、敦子さんにお願いして12月20日を取って貰っていましたが、支度も8割方出来て後は帯を結べば・・
と言う時に、母の急変の知らせが有って急遽、英子さんにピンチヒッターをお願いして行って貰いました。
今年は【事始めの8日】を敦子さんに予約してもらっていました。
昨日の強風とは打って変わって穏やかな観劇日和になってくれました。
9時に京阪天満橋の改札前で敦子さんと待ち合わせ。開場の10時少し前に到着。劇場前は凄い人の波でしたのでチョットお茶をしてから入場しました。
3階の一番前の席、花道は出と入りの揚げ幕(あげまく)の方は見えませんでしたが、スッポン(せり口)はハッキリ見える、とっても良い席でした。
新聞誌上でもお騒がせのマネキ、本人の物は、はずされていましたし、館内にもお詫び状が貼られていました。(クリックして下さい。)敦子さんのお手製のお弁当を頂きました。
休憩時間に舞台正面と2・3階の観客席をパチリしました。この時間の撮影は大丈夫です。右下の画像は2月公演の孝夫さまのポスターです。(勿論敦子さんとご一緒する予定で、チケットは申し込みをしています)
【あんなとんでもないことをして、お父さんの団十郎さん、人間国宝は無理でっしゃろなあ・・】私よりはチョッピリご高齢のご婦人がためいきをついておられました。
下の画像は12月9日、朝日新聞の夕刊の広告ページを使いました。
【1】羽衣 はごろも  天女=片岡孝太郎・漁師=片岡愛之助・・・舞踊劇
【2】菅原伝授手習鑑 すがわらでんじゅてならいかがみ(寺子屋)  中村吉衛門
   上方歌舞伎に出られることが少ないのでしょうか、初めて、中村吉衛門さんの舞台を観ました。とっても渋くて素敵です。
【3】阿国歌舞伎夢華 おくにかぶきゆめのはなやぎ
 阿国=玉三郎 名古屋山三 なごやさんざ=仁左衛門
最初は海老蔵が勤める筈の山三を仁左衛門さんが代役に。
所謂【孝・玉コンビ】の夢の舞踊劇で体を前のめりにして魅入っていました。
お互いの目を観るだけで一手・一足の動きが分かっておられる事がストンとこちらにも伝わってきます。”ゆめのはなやぎ”演題に相応しい華麗なお二人の舞台、 最高に楽しませて貰いました。
【4】伊賀越道中双六 いがごえどうちゅうすごろく (沼津)
先の十三代片岡仁左衛門十七回忌を偲んで三兄弟が演じられました。
長男 我當=父 次男 秀太郎=娘 三男 仁左衛門=養子に出された息子
呉服屋の主人、十兵衛(仁左衛門)の荷物を運ばせて貰う雲助(我當)。ヨボヨボと覚束ない足取りで客席をよろよろと歩いて笑いを誘います
三兄弟に我當さんの長男も加わっての【沼津】きっと先代さんも大満足なさっておられることでしょう。
2010.11.7  シネマ歌舞伎【大江戸りびんぐでっど】 ナンバパークスシネマ
東京の歌舞伎座のさよなら公演、衝撃の新作が・・・
のうたい文句に、下の映画を見に行った時に前売り券を購入。
”宮藤官九郎作・演出”と書いてあったので、不可解な今風のドタバタ?とは思っていましたが予想通り、何が何だか分からないおよそ”これが歌舞伎座のさよなら公演の演目?”とガッカリしました。
今風を好まれる方には面白いといわれる方も多かったそうですが、私にはとても及第点の取れる作品だとは思えませんでした。
ストーリー:江戸時代にくさや汁を浴びた死人が”存鼻 ぞんび”として復活。人間が嫌がる仕事も文句も言わずに低価格で引き受ける人材会社を興したくさや職人の半助(市川染五郎)・お葉(中村七之助)。ミュージカル紛いの♪りびんぐでっど・りびんぐでっど♪と歌いながらのダンスはおかしいというよりも、気持ちが寒くなってしまいます。
今迄12作のシネマ歌舞伎を観ましたが完全に選択ミスの観ものでした。残念(;一_一)
2010.10.10 【食べて祈って恋をして】ナンバパークスシネマ
私が好きなスター”ジュリアロバーツ”の作品が久しぶりに公開されましたので、ブラリと出かけました。
ストーリー:NYでジャーナリストとして活躍する30代のエリザベスは、結婚6年目で離婚を決意。すぐに恋に落ちた年下の若者との関係も終わりを迎える。恋愛依存症の自分に嫌気がさしたエリザベスは、すべてを捨ててイタリア、インド、インドネシアの3カ国を巡る1年の旅に出る。ルールは1つ――"旅の間は恋をしない、一人身を貫くこと"。イタリアでは"食"を追求し、インドでは瞑想に励み、最後に訪れたインドネシアのバリ島では、彼女の人生を大きく変える出会いが待っていた…。
印象に残る何かを感じることは有りませんでしたが、素晴らしい景色とインドの寺院、インドネシアでの優しい男性との出会い・・心がほどける楽〜〜な映画でした。(*^_^*)
2010.9.14  初めて京都の【南座】で歌舞伎を観て来ました。
昼・夜通し狂言の中から【佐藤四郎兵衛 忠信=源九郎狐 ただのぶ=げんくろうきつね】の物語を取り上げた昼夜特別演目の部のチケットを、生協で購入することが出来ました。
市川海老蔵のヨーロッパ公演の成功凱旋公演。若い力の爆発を感じさせられた素晴らしい演技でした。
海老蔵のはつらつとした動きと玉三郎さんのろうたけた艶やかな静御前はさすが、貫録でした。
@【序幕 鳥居前】
伏見稲荷鳥居の前で兄頼朝の嫌疑を掛けられて追われる身となった源義経。
何処までも一緒に・・と同行を願う静御前に朝廷から賜った【初音の鼓  はつねのつづみ】を形見として贈りすがる静御前を桜の木にしばり義経一行は立ち去る。
追手が現れ静御前と鼓を奪おうとした時現れた忠信(実は狐)が勇ましく追手をなぎ倒して静御前と鼓を守る。
A【三幕 道行初音旅 みちゆき はつねのたび】
義経一行が吉野へ逃れたと耳にした静御前は、忠信を供に吉野へ向かう。
艶やかな美しさの玉三郎の静御前と忠信、じつは狐の化身の海老蔵との美しい舞踊劇の一幕。
B【川蓮法眼館 かわつらほうげんやかた】
義経がかくまわれている法眼館に忠信が訪れる。静御前は、初音の鼓は・・義経の言葉に何が何だか分からずに戸惑う忠信。
そこへ静御前を伴ったもう一人の忠信(狐の化身)がやってくる。
ここで化身の忠信は本性を顕す。
この幕は海老蔵のケレンの見せ場。【ケレン= 歌舞伎では、宙乗り(役者が仕掛けによって空中浮揚する)や早替り(1人の役者が瞬時にして他の役・扮装に替わる)... 芝居であること、(2)難解なせりふを避けて現代人に分かる言葉で演じること、そして(3)とにかく筋書きが面白いことです。 ..】
昔、雨乞いの為に千年の寿命を持つ雌雄の狐が(源九郎狐の両親)狩り出されその皮を使って作られた鼓が【初音の鼓】であること、その鼓のそばに居たいために忠信に姿を変えて静御前と一緒に旅をして来た・・と打ち明ける。
義経は狐に初音の鼓を与える。喜びに打ち震えて身をよじる可愛いしぐさの狐の着ぐるみ姿の海老蔵。
欄干渡り、欄間抜け、早変わり、宙吊り・・・見事に演じる海老蔵に痛いほどの拍手を贈りました。とにかく楽しめました。
C【蔵王堂の場 ざおうどう】平家の能登の守平教経 (のとのかみ たいらののりつね)に兄継信(つぐのぶ)を討たれた忠信は恨みをはらそうと機会を窺うが、義経一行に無益な争いを思いとどまるように説得される。罪を悔いた教経は出家し、義経は奥州平泉を目指して落ちて行き、静御前は本物の忠信とともに、源九郎狐の里を目指しえ・・
桜吹雪の中を其々に出立して幕は下がります。
半額に近い価格でのチケット、十分過ぎる価値が有った様に感じました。南座は初めてですが、京阪電車の祇園四条駅を上がると目の前。落ち着いた雰囲気の劇場です。
器が適当な大きさだからでしょうか・・台詞の通りがとっても良かったです。
残念なのは同じ一等席なのに2階の真ん中位の為、3階までの宙吊りが見られなかったこと、花道が前半分しか観えなかったことですが逆にスッポン(花道にある切り口、下からのせり上がりの仕掛け)は良く見えましたので、舞台から下がった海老蔵がどんな風に早変わりして出てくるのか・・とワクワクしながら観ていました。
【おまけ】大活躍の海老蔵さん、きっと体力の消耗もはんぱじゃないでしょう。だから・・・新婦の麻央ちゃんが来ておられました。
写真はダメでしたがほんの目の前で初々しいお顔を拝見できました。
【出雲の阿国 いずものおくに】鴨川のほとりに立っている像。歌舞伎の創始者と言われている。
敦子さんと二人素晴らしかったね、良かったね・・・の感想でした。
途中敦子さんお手製のお弁当を頂いて・・休憩も含めて四時間強でしたが一切疲れませんでした。
京都らしい小物屋さんを覗いたり、くずきりを頂いたり一時間ほど四条散策して帰りました。
去年の12月20日、【顔見世】に出かける寸前に母が危篤に・・フット頭をよぎりました。
外からは何度も観たことが有る南座、初めての観劇でしたが、気に入りました。
この劇場も東京の歌舞伎座と同じく、リニューアルされるようだ・・との話も耳に入ります。落ち着いた雰囲気、残してほしいです。
2010.9.12  【借りぐらしのアリエッティ】を観て来ました。 あべのアポロシネマ
時々テレビで流れる映像で、なにかしら優しい気持ちになれるような映画だと思っていました。
墓参の帰り、13:40阿部野橋着。で14;10からの分に間に合いました。
上映時間は90分、少し短めでしたが心ホカホカの優しい映画、疲れもなく帰宅しました。
【注】画像はNet検索で拝借しました。
2010.7.19  七月大歌舞伎・関西・歌舞伎を愛する会結成30周年記念
【7月10日  大阪松竹座】
【双蝶々曲輪日記 ふたつちょうちょうくるわにっき】
人気の大関【濡れ髪長五郎=市川染五郎】が若旦那【与五郎=片岡愛之助】と遊女【吾妻=市川春猿】の駆け落ちを助けようと追手を殺めてしまいます。お尋ね者となった長五郎は、生母【お幸=坂東竹三郎】にいとまごいをしに八幡の里へやってきます。
お幸の義理の息子【予兵衛=片岡仁左衛門】は村方取り締まりのお役を受け、長五郎召し捕りの任を受ける。義理の息子の御役目を全うさせるか、罪を犯した実子をかくまうか・・母親お幸の苦衷を見抜いた予兵衛は月の光が差し込む引き窓の明るさを利用して夜昼逆転させて自分の任務は夜。明るくなった今は任務ではないと義弟長五郎に逃げ道を教える。
【弥栄芝居賑 いやさかえしばいのにぎわい】道頓堀界隈に五座があった懐かしい頃を彷彿とさせる懐かしい芝居小屋の前の賑わいを見せる。
大阪で歌舞伎がすたれてしまった頃どうしても歌舞伎の火を消してはならないと自主公演をされた先代の片岡仁左衛門丈をはじめ【関西歌舞伎を愛する会 結成三十周年】を記念して当時の旦那衆とひいきの芸者さんの観客・座元・興行主が勢ぞろいする・・・華やいだ雰囲気の一幕。
【竜馬が行く 風雲篇】おりょう(片岡孝太郎)の機転で幕府の役人の追手から逃れた竜馬(市川染五郎)は”真実を見よ”の勝海舟の教えに従い、薩摩の藩士を説得、長州との連合に力を注ぎ薩長連盟に漕ぎつける。
【見終わって】今回は抽選漏れでチケットが取れなかったので、平野生協に入っている友人に頼みました。本来は日曜日の昼の部を予定していましたが、同じ日時では又ダメの心配から友人に依頼したのは土曜日の夜の部でした。
夜の部は開演が16:00ですので、午前中出勤してお昼からお休みを貰いました、敦子さんも急の用事で開演前10分に席に着かれました。(チケットは以前の教訓から各自が持っていました)
今回は、興味の薄い演目でしたというより初めての【双蝶々曲輪日記】余り興味のない【竜馬が行く 風雲篇】
役者さんは好きな人達でしたし、猿之助歌舞伎の春猿・猿弥(しゅんえん・えんや)の客人出演もあって楽しめましたが、内容的には、いつもほど楽しめませんでした。
2010.6.24 読書感想文を書きました。
きのね【柝のね】上・下 宮尾 登美子 朝日文芸文庫 カバー:中島千波 印刷・製本:凸版印刷
【貝寄風 かいよせ】春先に吹く風は貝を岸辺に運んでくる恵みの風・・塩焚きをなりわいとする光乃野故郷でこの言葉を教えてくれたのは、たしか祖母・・・
仕事を失い故郷を出、住み込みの仕事を見つけて姉が家を出、叔母の所で世話になっていた光乃も学校を出るとヤイノヤイノと叔母にせっつかれて口入屋へ。役者、菊間雪雄の世話の口が決まる。
【主従は三世を契る】わが身を捨てて雪雄坊ちゃまに仕える光乃。
恋慕う心を、身分の違いとひた隠しに隠して、自分の体がボロボロになるまでただただ坊ちゃま一筋にみのまわりをお世話し、雪雄坊ちゃまの妻・愛人の世話までするが、内心では、意地悪いしぐさもしてしまう光乃。短気な雪雄は妻を痛めつけ追い出してしまい、二人の子供までなした愛人も一夜の病で二人の子供を亡くしてからは、心の病になり田舎の病院へ。
どんなにわがまま・気ままを言われてもひたすら役者の将来を信じて尽くす光乃。雪雄の大病が光乃の献身的な介護と光乃自身の大量の輸血で命拾いをした時、雪雄も光乃の心・思いを知って二人は結ばれる。が世間的にはあくまでもご主人様と身の回りをお世話する女中の姿勢を貫き通す。何度目かの大病を克服し、大きな名前の襲名を披露した時、正式に世間に夫婦として披露される光乃。
幸せは薄く癌に冒された雪雄は光乃の水垢離 みずごり・お百度参りの甲斐もなく旅立つ。
a
伽羅の香 きゃらのかおり 宮尾登美子 中央文庫 カバー:堀川えい子 印刷:三晃・製本:小泉
三重の山林王の一人娘として何不自由なく育った葵。次々と生まれた男の子4人は育つことなく死んでいく。そのあとに産まれた葵、外気にもアテナイ真綿でくるんだような生活。
憧れの従兄恵三と結婚。田舎には二度と戻らないと東京で二人の子供にも恵まれ幸せな生活を送る。急性の腎臓病で急死してしまった夫景三。叔父でもあり舅でもある祐作の勧めで【香道】を学んでいく葵。【香道】元来公家のたしなみの芸道。やまがつの育ちという負い目を感じながらも香道の為には故郷の山林を売り、湯水のようにお金を使い・・葵の周りにはたくさんの人が集まるようになる。
一派を立てるにはやはり公家の流れをくむ人を・・と三条西 実兼に総てをなげうって後援する。
葵が病に倒れた時、その時代では【死病】と恐れられていた肋膜だと噂は広まり、葵の周りからは、たった一人の弟子?葵を慕う辰江を残して、三条西のもとへと行ってしまう。山育ちの家柄を恥じ隠し続けた葵が二人の子供まで病で無くした時、帰りたくなったのは捨てた故郷、三重の山家であった。
重体の体で・・との医師の反対を押して付き添いの看護婦を同道しながら車に揺られ山家を目指す葵でした。
a
林住期 りんじゅうき 五木寛之 幻冬舎 カバー:三村淳 印刷・製本:中央精版印刷
古代インドでは人生を25年一区切りに考える生き方があるそうです。
【学生期 がくしょうき=青春=ホップ】【家住期 かじゅうき=朱夏=ステップ】【林住期 りんじゅうき=白秋=ジャンプ】【遊行期 ゆぎょうき=玄冬】作家はなかでも【50歳〜75歳の林住期】を人生のクライマックス・ハーベスト(収穫期=黄金期)と考えて、50歳までの生活の為に収入を得るのではなく、自分の為の楽しみの時期にしたいとの考えで生活をしたい・・それが作家の願いであると説いています。
この本を紹介してくれたのは、働き盛りは大きな建設会社で猛烈社員として働きリタイアー後は奥様のふるさと宇和島へ帰って、奥様が経営されるお店の顧問?仕入れ担当・として働く以外は地元のお仲間と海・山・野・畑と思いのままに駆け巡り果物を育て(獅子ゆずを頂いた同級生)イノシシを撃ち、魚を獲り、地元を元気にするイベントで大騒ぎをして青春しておられる生き方。
まさに【林住期】を実践しておられるように感じました。
a
ここ過ぎて 上・下 瀬戸内晴美 新潮文庫 カバー:小林今日子 印刷:金羊社・製本:憲専堂
北原白秋と3人の妻。俊子 としこ、章子 あやこ、菊子 きくこ。
隣家の人妻俊子の美貌に溺れて姦通罪にまでとわれながらも、最初の妻とするがその結婚生活は1年余りで破たん。2人目の妻、江口章子は九州の旧家の令嬢。その奔放で時代に先行した生き方をする女性。婚家を飛び出し、作家白秋のもとへ弟子入り。そのまま居ついて二人目の妻となる。
白秋の詩作に協力もするが,生まれついての奔放な生き方で若い新聞記者と出奔。その後白秋は作家活動とは無関係の菊子と見合いで結婚、子供にも恵まれ平穏な安らぎと共に生涯連れ添う。
二人目の章子の生き方は波乱万丈、京都大徳寺の中村戒仙和尚との仏縁で結ばれた生活も凄惨な姿。最後には心を病み生まれ故郷へ戻り、実家の近くの座敷牢のような一室で糞尿にまみれて生涯を閉じる。
2010.5.15シネマ歌舞伎を観ました ナンバパークスシネマ シアター9

【左上】のプログラム以外はNET検索で借用した画像です。

【左下】白黒の画像。今の勘三郎さんの父勘三郎翁も得意な演目でした。
【蜘蛛の拍子舞 くものひょうしまい】
源 頼光 みなもとのらいこう(尾上菊之助と家臣の四天王達による土蜘蛛退治の話。花山院の空き御所に現れる絶世の美女、妻菊(玉三郎)の妖艶な美しさ、その正体はこの院に住む物の怪、女郎蜘蛛。美女から物の怪へ。千筋の蜘蛛の糸を繰り出して四天王に立ち向かう女郎蜘蛛の精。
大詰めには怪力の坂田金時 さかたのきんとき(三津五郎)も駆けつける。
美しい千筋の蜘蛛の糸・・・堪能しました。
【身替座禅 みがわりざぜん】
初演は勘三郎の祖父六世尾上菊五郎と三津五郎の曾祖父七世三津五郎。
恋人に会いに行きたくて持仏堂に籠って座禅を組むので見舞いは結構と妻玉の井(三津五郎)をごまかす右京(勘三郎)
身替りを家来の太郎冠者 たろうかじゃ(市川染五郎)に頼む。
ほろ酔い気分でウキウキ帰った右京、太郎冠者にのろけ話を・・・
実は身替りがさらに玉の井に替っていて、大いにしぼられる・・
というちゃり舞踊。大いに笑わせて貰いました。
シネマ歌舞伎、高齢者でも割引ナシの2000円也。
今回は前売り券を買っていましたので1800円のお得料金でした。
2010.5.9日 観劇・御堂筋Openフェスタ2010
【御堂筋Openフェスタ 2010御堂筋を歩行者天国にした春のイベント。
御堂筋、長堀通りから千日前通りまでを4つのゾーンファッション、スポーツ、ジャズそしてダンスゾーンに分けてそれぞれのイベントを楽しむ。
歌舞伎がはじまるまでのほんの20分位でしたが、ディキシージャズの演奏に手拍子を打ち、【河内蓮かわちれん】のよさこいソーラン踊りの元気なパフォーマンスを楽しみました。
【松竹座】珊瑚会の玉枝ちゃんからお誘いいただいて、お仕事の同僚の方もご一緒に3人で【團菊祭】を観てきました。
歌舞伎界の大御所、市川団十郎と尾上菊五郎の競演。
大阪ではめったに見られない顔ぶれですが、東京の歌舞伎座が改築のために松竹座でも見る機会が出来ました。
【夜の部】
【十種香】武田勝頼(信玄の嫡男)は足利将軍暗殺の真犯人を探し出すことが出来ずに許嫁の八重垣姫(中村時蔵)と一度も顔を合わすことなく切腹。
十種香を焚いて毎日菩提を弔う八重垣姫。勝頼に瓜二つの花つくりの庭師蓑作(みのさく、実は本物の勝頼=中村錦之助
を見て腰元の濡れ衣(ぬれぎぬ=尾上菊之助)に恋の仲立ちを頼む。
勝頼の身代わりとなって切腹したのは腰元濡れ衣の夫でした。
花つくり蓑作が本物の勝頼であることを見抜いていた八重垣姫の父は言葉巧みに武士に取り立て、用を命じて館を出させ、追手を差し向けて亡き者にしようとたくらみます。
歌舞伎の【三姫】鎌倉三大記の時姫、金閣寺の雪姫と共にこの八重垣姫がこう呼ばれるそうです。
高貴な品と美貌を兼ね備えたお姫様の大役。もちろん最高の衣装、姿形も美しかったですが、私は濡れ衣の菊之助の方がしっとりと美しい女形で好きです。
【京人形】今日の演目の中で一番美しい舞踊劇。
廓で見染めた花魁に生き写しの京人形を彫上げた【左甚五郎=坂東三津五郎】は、その京人形を箱から取り出してうっとり眺めながら酒宴の真似ごとをするのが至福の時。
酔いがまわるにつれその京人形(尾上菊之助)が踊りだします。女の魂、小さな手鏡を人形の懐に入れると、しっとり艶やかに踊りだし、鏡が落ちると荒々しい硬い人形の踊りに戻ります。
踊り巧者のお二人の舞踊劇、とっても楽しめました。
【髪結新三 かみゆいしんざ】菊五郎と菊之助、父子が小悪党の髪結いの親方と弟子になって、言葉巧みに材木屋の一人娘をかどわかし、義を見て片肌脱いだ団十郎扮する侠客の親方迄もを舌先三寸の粋な台詞でやりこめます。
江戸っ子のお芝居らしく【初ガツオ・ほとぎすの鳴き声】で江戸の春の光景を楽しませてくれました。
坂東三津五郎の老獪な大家の駆け引きは笑い声さえ聞こえていました。
【見終わって】
東京の歌舞伎座が建て替えのために、江戸歌舞伎の大御所、市川團十郎・尾上菊五郎の【團菊祭歌舞伎】を見る機会を得られました。上方歌舞伎のはんなりさに対して、いなせな気風の良さが爽やかさを感じさせてくれました。
女房を質にいれても【初ガツオ】に目がないといわれた江戸前の気風、粋がったまくし言葉の台詞。
見ている側の気持ちも男気が強くなるようでした。
廊下には歌舞伎座から持ってこられた【團十郎・菊五郎の胸像】が威風堂々と飾られていました。
【お好み焼きのお絵かき】
玉枝ちゃんの友人のお嬢様の嫁ぎ先、女将さんが上手にマヨネーズで描かれるのがお店の名物になっているそうです。
若女将も腕を磨いてお披露目が出来るように勉強中だそうです。(千日前 おかる)