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2013年の観劇

 12月14(土)  シネマ歌舞伎【春興鏡獅子 しゅんきょうかがみじし) 】 ナンバパークス
 
老女に手を取られイヤイヤ踊り始めた
弥生ですが・・・
 
 獅子の精が乗り移り、見事な毛振り
で踊り狂う。
クリックして下さい。
 
 可愛い胡蝶(こちょう)には
左:片岡千之助(仁左衛門の孫)と
右:中村玉太郎(中村松江の長男)
共に2000年生まれ満8歳。
踊り上手な将来の担い手さんです。
 2012年12月5日に逝去した18代目中村勘三郎の一周忌にあわせ、勘三郎が祖父(6代目尾上菊五郎)、
父(17代目中村勘三郎)を経て譲り受け、生前17回にわたり演じた「春興鏡獅子」を
歌舞伎の舞台を映 画館で上映する「シネマ歌舞伎」のシリーズ20作目として劇場公開。
【あらすじ】
小姓の弥生は、江戸城の大広間で行われるお鏡曳きの余興として舞を披露することになる。
当初は気後れしていたものの、意を決して舞を披露し始めた弥生は、祭壇にまつられていた獅子頭を手にする。すると弥生に獅子の精 が乗り移り、獅子の狂いを見せ始める。  09年1月「歌舞伎座さよなら公演」での舞台を収録した。 
【観終わって】
大好きだった勘三郎さんが彼岸へ旅立たれたのが昨年12月5日。追悼番組、1周忌を迎えての特別番組・・ビデオに撮ったまま未だよう見ないでそのままにしています。
今回のシネマ歌舞伎も見たい気持ちは強いのに・・・・すぐには行けませんでした。
先に観た友人が劇場の人に聞いて来てくれまして12月20日までの上映、10:10と14:10の1日2回の上映です。
唯一行ける日は14日の土曜日の14:10の部しか有りませんので午前中の英会話学習を終え、ランチを頂いてからナンバへ行きました。
胸の動悸が高くなってきます。可愛い胡蝶の踊りに笑も漏れます。後半、花道から獅子頭を付けた勘三郎さんが出てこられた時急にグッと来ました。
涙が止まりません。声が出ないように必死にこらえながら観ました。
大好きな勘三郎さん、歌舞伎だけではなく藤山直美さんとの夫婦善哉や他の舞台も拝見しました。テレビでも勘三郎さんの名前を見つけると必ず予約していました。これからはお父様を尊敬し、その後ろ姿に学ばれた二人の息子さん、勘九郎・七之助さんの舞台を応援して行きたいと思います。
  左の画像は、数年前に神戸の劇場で長男勘太郎、次男七之助を両脇に【連獅子 れんじし】を踊る幸せ絶頂の勘三郎さんです。
舞台を見ながら、急に涙が止まらなかったのを覚えています。
同じように男の子を二人持ちながら十分に成長を見ることなく彼岸へ行ってしまった主人の事を思い出してたまらなくなってポロポロしてしまいました。
七之助君の無礼行為で世間に頭を下げられた勘三郎さん、平成中村座でニューヨーク公演をされて、ア、メリカの人をも巻き込んで楽しい舞台を成功されたことも。
伝統の歌舞伎に縛られること無くコクーン歌舞伎等野田秀樹・宮藤勘九郎さんなど現代作家の演題も取り入れての舞台。
やはり忘れられない役者さんです。
全ての画像はNET検索して借用しました。
10月23日(水) アマテラス  京都南座
以前から見てみたかった【玉三郎さんと鼓童 こどう】の競演【アマテラス】
平日でしたがお休みを貰って出掛けました。開演は14時30分。生憎の雨天でしたので何時もは歌舞伎見物の時は着物を着ますが洋服で出掛けました。お昼に家を出ましたので、開演までには1時間近くありました。
雨なのでぶらぶら歩きも大変だし、劇場のすぐ横の【ちりめん細工館】で楽しい細工を見て過ごしました。このお店には以前にも入った事が有りますが、今回はかなりじっくり見て回り、気に行ったちりめん風呂敷を買いました。
【あらすじ】
イザナギが司る天と地。そのイザナギの左目からアマテラスが産まれ鼻からはスサノオが産まれた。
アマテラスは高天の原(たかあまのはら)を治めスサノオは海を治める事を命じられたが従わずに荒ぶる魂で天地を揺るがせながら姉のアマテラスを訪ねる。アマテラスの説諭にも耳を貸さず荒れ狂うスサノオ、アマテラスは天の岩屋戸に姿を隠してしまう。
光を失って世の中は闇の世界となる。八百万(やおよろず)の神々が岩戸の前で祈り宴を始める。女神、アメノウズメの恍惚の踊りにアマテラスは天の岩戸を少し開けて覗き見る。神々はその岩戸を開けてアマテラスを迎える。アマテラスは再び地上に光を満たす。
【観終わって】
玉三郎は裾を舞台一杯に広がった布で右から左へ、前から後ろへ・・・と唯々ゆるやかに美しく動き回る。
太鼓の激しい響き、女性3人を含む23人の迫力ある太鼓、10種類以上の太鼓。飛び散る汗を舞台一杯に撒き散らしながらこれ以上の迫力は無いでしょう・・・と思われるパフォーマンスを演じてくれました。
女神、アメノウズメは昨年秋に宝塚を退団した愛音羽麗(あいねはれい)さん。
舞踊ではなくレビューの踊り。ミュージカルでもないし舞踊劇でもないし・・・玉三郎さんが指導した太鼓集団、鼓童の作品発表会の感じでした。3回ものカーテンコール、とにかく美しい玉三郎さんの流れるような美しいベールの衣装と太鼓の迫力うっとりさせられた2時間でした。
今回はnetで購入したチケット。良い席は売り切れ、7000円の席しか取れなかったのです。3階の2列目、普通の歌舞伎でしたら花道も見えないし、見づらい席でしたが真正面だけで演じられる太鼓のパフォーマンスでしたので、それなりに見やすい席でした。
下の画像は、パンフレットと以前東京の劇場で演じられたビデオをテレビ画面から写したものです。
8月16日(金)映画の梯子をしました。 ナンバ 東宝シネマ
東宝の映画2作、同じ映画館で上映している所を昨日娘に調べて貰っておきました。お寺の帰りに徒歩で10分程、近鉄線【今里駅】からナンバ駅迄。先ず12時20分から14時40分迄シアター2で【風たちぬ】を観て外へは出ずにそのまま、係りの人にチケットを見せて14時50分から17時10分迄シアター5で【少年H】を観ました。
【風たちぬ】
美しい飛行機作りに夢を持つ少年二郎と絵を描く事が好きな菜穂子さんとの出会い。
夢の中でイタリアのアプローニ飛行士にあこがれ尊敬と友情を大きくしていく二郎。
戦争の為に使うのではなく夢を運ぶ為に・・と二郎は夢見るが遂には零戦用の戦闘機を作る事に。
結核にかかった菜穂子さんは山のサナトリュームで療養するが、ある日、二郎に逢いたいとサナトリュームから抜け出てきますが幸せな日々は長くは続きません。医者になった二郎の妹は直ぐにもサナトリュームへ菜穂子さんを返すべきだと忠告する。
やつれて行く姿を見せたくないと二郎には告げずに菜穂子はサナトリュームへ戻り、間も無く亡くなります。
【掘 辰雄の  風立ちぬ】は、僕と節子さんの淡い、はかない恋で暗〜〜い物語でしたが、此の映画では菜穂子さんの死、夢の飛行機が戦争に使われるゼロ戦になってしまった事など、暗い結果にはなってしまうが、全体的には綺麗な画面であったと思います。
【少年H】
洋服の仕立て屋さんのお父さん、敬虔なクリスチャンのお母さん、そして可愛い妹と4人家族の肇 はじめ少年。
戦争が激しくなってきたとき、居留地区に出入りする父、クリスチャンの母には特高警察の目が光る。
うどん屋のお兄ちゃん(小栗旬)は赤の疑いで逮捕されるし、おとこ姉ちゃん(五月女太一)は招集され、皆さんに見送られて出征して行くが、そのまま逃げだして小屋で首つり自殺をする。
疎開先の妹が持って帰ったお米で炊いて貰った白米。集合住宅の隣の部屋の子供が覗き見しているので、その子供に持って行ってあげる母。
其の時だけの喜びを与えてあげるのが良い事なのかどうか、自分たちにも生活が有るのに・・そんな母の態度をとがめ、”お父さんはどう思いますか?と父に詰め寄るH。
爆弾が落ちた其の時、Hは2階から父親のミシンを持って降りようとするが、母親と二人で持っても無理だったので、頭の部分だけ持って逃げました。最後のシーン、板で作られた台に、頭の部分を据え付けてミシンを踏む父親。家族に幸せな笑顔が戻ってきました。
【観終わって】
久し振りの映画鑑賞。それも無謀な2本連続。
どちらも話題作で観たい・・・と思っていたのでお盆行事を終えてホット一息ついた時だったしまだ二日間も休みが続くのだから・・と、気分的にはリラックスしていましたが、どちらも戦争の話題の映画なのが、すこし重く感じました。
【風立ちぬ】は最後にとびっきりのお洒落をした菜穂子さんが一人で家を出て行くシーンが痛々しかったです。
【少年H】水谷豊さんの父親役、昔のいわゆる強い父親像ではなく、お母さんに従って教会へ行く。Hに意見を求められても、頑固とした言い方ではなくて、まるで棒読みの様な会話でその場をおさめてしまう・・・頼りない父親像に戦争時代の父親像とは違ったように感じられました。
(追)画像はGoogleから借用しました。
7月28日(日)関西歌舞伎を愛する会第二十二回  七月大歌舞伎    (大坂松竹座)
6月30日、夏歌舞伎恒例の【舟乗り込み】が行われました
京阪天満橋駅前の八軒家浜船着場から松竹座まで、大勢の歌舞伎ファンが歓迎の声援を送った今年の船乗り込み
其の後松竹座の前で役者さんの挨拶が有ったそうです。(以前,ななふくさんが行かれたお話を伺っておりましたので、今年は私も・・と思っていましたが用事が出来てよう行きませんでした。) 
右端の写真】は片岡仁左衛門さんが中村屋ゆかりの演目で十八世を偲んで御挨拶をされたそうです
「大阪には、中村屋(十八世勘三郎)と中座の頃から一緒にやってきた思い出があるので、今回は、気持ちのなかで彼を偲びつつ、公演成功を願っております」と、昨年末に急逝した故人に思いを馳せる仁左衛門。夜の部に出演する『一條大蔵譚』は、「十八代目勘三郎襲名のときに鬼次郎を初役で勤め(平成17年3月歌舞伎座)、昨年3月平成中村座の勘九郎襲名でも鬼次郎で出ました。...なんか、中村屋とつながっているんです」と、特別の思いで臨みます。【上の画像と、仁左衛門さんの御挨拶はNET検索して使わせて貰っています】
今回は、72歳の誕生日、千秋楽の夜の部を観に行きました。
昨年の夏歌舞伎を観に行った時と同じ、淡い藤色の絽の着物にグレーの【歌舞伎のくまどり】の夏帯を締めました。
暑いですが、気持ちがシャンとします。
夜の部は16:30開演、途中3回の休憩もありましたが、終演が20:45。
長帳場でしたが、疲れる事も無く、素晴らしい歌舞伎の世界にドップリと浸れました。左端の画像をクリックして下さい。
今回は、松島屋の片岡我當・秀太郎・仁左衛門の三兄弟、東の成駒屋の中村福助・橋之助兄弟そして西の成駒屋の中村翫雀・扇雀兄弟とそれぞれの子供さん、孫さん達の競演です。
【曽我物語】
曽我十郎・五郎には、父の違う兄の京小次郎、幼い頃に出家になった禅司坊という弟がいて四人揃って父の墓参をしている。
父の仇、工藤祐経を討つ計画が整ったと、十郎が小次郎に加勢してくれるよう願うが、小次郎は義理の父であることを理由に断る。
その言葉を聞いた五郎が現れ、怒って小次郎に斬りかかる。   十郎はこれをなだめ、小次郎には他言せぬよう頼む。
禅司坊は仇討ちのことを察して自分も加えてほしいと願うが、出家の身であることから兄たちに反対される。
十郎は嘆願成就を祈り、菩提を弔ってくれるよう言う。小次郎は餞にと狩場の図面を兄弟に手渡し、兄弟はその志に感謝し立ち去る。
その姿を十郎の恋人、大磯の虎も見送るのであった。
小次郎は我當さん、十郎は翫雀さん、五郎は進之介さん、禅司坊は薪車さん、です。(曽我兄弟と言えば十郎・五郎の二人だと思っていましたが、長兄小次郎、四男禅司坊も含めて四人兄弟だったんですね、今まで知りませんでした)
【一條大蔵譚 いちじょうおおくらものがたり】
源義朝の愛妾であった常盤御前(ときわごぜん=秀太郎)を妻に迎えた大蔵長成(おおくらのながなり=仁左衛門)は、真っ白塗りの御公家様、唄や踊りにうつつをぬかし阿呆と噂されています。
源氏の旧臣、吉岡鬼次郎(橋之助)とお京(孝太郎)夫婦は常盤御前の本心を探ろうと邸へ忍びこみます。
常盤御前の部屋に掲げられた平家調伏の図(ちょうぶく=神仏に祈って恨んでいる相手をほろぼす事)平伏する二人。それを覗き見する勘解由(かげゆ=亀蔵)其処へ現れたのは最前までとは違う、いつものキリッとした二枚目の仁左衛門さん。
平家の目をくらます為に常盤御前と同じく本心を隠して阿呆の振りをしていたのです。勘解由(かげゆの首をはね源氏が本会を遂げるようにと鬼次郎夫婦を見送ります。
【一言】かなり以前に勘三郎さんの大蔵卿を観た事を想い出してウルウルしてしまいました。
夜明けの行灯、白塗りの阿呆なお公家さん。面白みを得意とされた勘三郎さんの大蔵卿は大げさすぎるほどに阿呆を演じ、常盤御前の本心を知ってからは、たまらないほどの二枚目ぶりを演じられました。
仁左衛門さんの、阿呆と二枚目の二面性を演じ分けられた芸の素晴らしさも拍手喝采ですが、私には未だ勘三郎さんの姿が大きく残っていました。
【杜若艶色紫 かきつばたいろもえどぞめ】
見せ物小屋で蛇使いをするお六姉御(福助)は金儲けのためには何でもする悪女。
坊主の願哲(がんてつ=橋之助)と組んで、吉原の傾城(けいせい=おいらん)八つ橋(扇雀)を姉の私が困っているのだから助けてほしい・・と恋人の次郎左衛門(翫雀)と別れさせて金持ちの旦那を取り持とうとします。
八つ橋の心変わりを責める次郎左衛門は激怒、惨殺してしまいます。
八つ橋の懐からこぼれおちた真っ赤な布地の御守り。口先だましではなくお六の本当の妹だったのです。
【一言】限りなく悪女をやってのけるお六さんが騙した八つ橋が本当の妹分かった時の表情。悪女ぶっているだけに、本心から悔やんで涙することが出来ない強情っぱりさ・・・
今日の福助さんはおかしみとホロっとさせる演技、最高でした。
又途中で名題お披露目の橋吾さんと松十郎さんが目立つお役をされています【口上披露】を福助さんがされました。
3月20日(水  祝日) 草原の椅子  アポロシネ
テレビの宣伝を見て、時間を作って見たいなあ・・・と思っていましたられいちゃんのリポ-トを拝見して一層見たいと思いました。
お彼岸参りに吉野へ行った帰り、阿倍野駅へ着いたのが17::21。かなり雨が降っている様子です。天気予報では雨とはなかったので私は傘も持っていないし(用意周到の娘は傘を持っていました)、”見終わる頃には雨も上がってるやろうから観て行ったら・・”の娘の言にも押されて18:00の部の映画を観る事にして娘とは阿倍野駅でバイバイ。
人影もまばらなシアター内、始まるまではおしゃべりの声も気になりましたが、私も友人と一緒ならこんな調子なんかなあ・・”他人の振りみてわが身を正せ”と反省。

【あらすじ】日本から、世界最後の桃源郷フンザへ新たな希望へと旅立つ物語
バツイチで、年頃の娘と二人暮らしの遠間憲太郎(佐藤 浩市)に、50歳を過ぎて三つの運命的な出会いが訪れる。
一つは、取引先の社長・富樫(西村 雅彦)に懇願され、いい年になってから親友として付き合い始めた事。
もう一つは、ふと目に留まった独り身の女性・貴志子(吉瀬 美智子)の、憂いを湛えた容貌に惹かれ、淡い想いを寄せるようになった事。
3つ目は、親に見離された幼子、圭輔の面倒をみるようになったこと。
憲太郎、富樫、貴志子の3人は、いつしか同じ時間を過ごすようになり、交流を深めていく中で、圭輔の将来を案じ始める。
年を重ねながら心のどこかに傷を抱えてきた大人たち。  そして、幼いにも関わらず深く傷ついてしまった少年。
めぐり逢った4人は、ある日、異国への旅立ちを決意する。
そして、世界最後の桃源郷・フンザ(パキスタン)を訪れたとき、貴志子が憲太郎に告げる。
「遠間さんが父親になって、私が母親になれば、あの子と暮らせるんですよね」    あらすじと画像は_Googleより
【観終わって】夫々に心にそれなりの葛藤を抱えている大人の男女のしっとりとした物語の流れの中に唯々一緒に浸っていたい・・そんな気持ちになりました。
器の事にそれ程興味が有るわけでもないのに貴志子に惹かれてお店に入り、お皿を買ってしまう。お金を払う段になっての表情、きっとゼロを一つ読み違えたのでしょう?でも浮き浮きしながら家路をたどる憲太郎の足並みは軽い。
有る時、憲太郎は娘が男の家に入り洗濯物を干している姿を見て怒りにまかせて娘を叱りつける。
上司に頼まれて男の子の面倒を見ていただけと分かるが、上司が転勤になり、子供の面倒を見るものがいないなら児童相談所へ預けるしかないと・・・不憫な想いは有る憲太郎。有る時娘に用事があlり、憲太郎が面倒みる事を頼まれる。
チョコット出ただけの小池栄子。虐待して子供を放って男の許へ走ったのに、後悔しているからと子供を引き取りに来る。
がやはり自分には育てられないと再び子育てを放棄する。 現在に問題を提起する母親像が描かれているように思いました。
とってもお目目が大きいのに笑顔も怒りも無い無表情な圭輔。
子供があそこまで無表情になれる、総てを拒否して娘の手だけは離されない様にきつく握っている・・のには最初の内はチョット引いてしまいました。次第に憲太郎にも心を開いていくようなのですが、笑顔や笑い声はありません。
言葉も殆ど無く、こちらの問いかけに首を振るだけの圭輔。
最後まで子供の爆発するような感情の表現は見られませんでしたが、雑誌で見つけた【フンザ】の砂漠の写真に興味を持つ。
”行こうか!”と憲太郎。ウンとうなづく圭輔。商売の縮小を決意する冨樫、そして貴志子も一緒に行きたいと言い、四人は、パキスタンのフンザへ向かう。
乗客であふれるバス、ガタガタの道。それでも素晴らしい大自然の中で生きる人々の表情は活き活きと明るい。
素晴らしい大きな砂漠。人の足跡も無い。そんな砂漠の山へ向かって一心に歩き続ける圭輔、後を追う貴志子。キュンとなりました。
フンザで将来を占う老人がいると探します。羊の群れを追う老人がその人でした。”私の未来は?”問いかける貴志子に”人間はまじめに唯々今していることをし続ける事”と一言行って去っていきます。
墓参の帰りに、心穏やかに浸れる映画、観て良かったと思いました。観終わった時には雨も上がっていて濡れずに帰れました。
2月9日(土) 【東京家族】 
先に見ていた友人から家族の在り方についてチョット考えさせられる映画やったよ、時間があったら観てみたら・・と聞かされていたのですが中々時間が出来ず、会社の帰りに行くのなら、此処しかなく初めてのシアター【大阪ステーションシティシネマ】へ行きました。
此処は今年の【みたしょ会】新年会の時に探検に連れて行ってもらった所でしたが、一応行き方を調べて行きましたので迷うことなくスムースに着きました。此のシアターには12のスクリーンがあります。
【東京家族】はスクリーン7でpm6:00から上映です。
【あらすじ】瀬戸内海の風光明媚な気候も人情も穏やかな小島に住む平山周吉(橋爪 功)と妻とみこ(吉行和子)は3人の子供たちに逢う為に東京へ出掛ける。
東京郊外で医院を開業している長男、幸一(西村雅彦)の家へ落ち着く父母。忙しく美容院を経営している長女、中嶋朋子、そして未だ定職につかずに父親の心配の種の二男、昌次(妻夫木聡)が揃って和やかにすき焼きを囲んで両親を歓迎する。
が病人が出ると直ぐに往診に出掛けないといけない長男の所でも落ち着けないし、チッチャナ美容院の娘の所には両親が泊まる部屋も無い。そこでお金は掛るがホテルに泊まって貰って両親に寛いでもらうのがお互いにbestだろうと、送り出すが。
フカフカのBEDでは眠れないしフォークくとスプーンでの食事は何を食べているのか分からないし・・・
一泊でホテルから逃げ出すように帰ってきた両親に”せっかくのホテルを何故?”と愚痴る娘。
父は友人と一緒に恩師のお参りに、母は気がかりな次男坊の様子を覗きに行くことにし、それが済んだら島へ帰ろうと話し合う。
その友人の息子は出世して大きな家に住んでいるので今夜はその友人の家で泊めてもらうからと家を出る。
次男坊の家に行った母はそこで恋人、紀子(のりこ蒼井 優)を紹介される。
東京へ来て初めて感じるくつろぎ、やすらぎに其の夜は昌次がbedにその下へ布団を敷いて母は安らかに眠る。
一方、父は”息子が私の友人を連れてくるのを嫌がるんだ”と居酒屋へ誘う友人(小林念侍)と愚痴話をしながら遂に禁を破り大酒を飲んで酔いつぶれてしまう。
翌日ご機嫌で医院へ戻ってくる母。酔っぱらって美容院の床へ、へどを吐いて医院へtaxiで送りつけられた父。
”とても良いことがあったの”と笑顔の母は明日お話してあげるからね・・と二階へ。
階段の途中で倒れてしまい、長男はすぐに救急車を手配、知人の病院へ運び込まれるが、遂に帰らぬ人となる。
火葬されてお骨になった母を連れて島へ帰る父と子供達。
葬儀を終えると直ぐに夫々忙しい事を理由に東京へ帰る長男夫婦と長女。
父の側に残ってくれたのは二男昌次と恋人の紀子でした。
何一つ東京で良い想いをしなかった父ですが、紀子の人を包み込む優しさと気楽さに、”紀子さん、あんたは良い人じゃねえ・・”
と此の前母が行った同じ言葉を口にする。
屋根を修理する昌次、犬を散歩させる紀子。島の風景に溶け込んでいる二人ですが、やはり帰る日が来ました。
いつの日か再び島へ帰ってくれるだろう・・と、瀬戸内海を走る舟の上の昌次と紀子の姿に心がほのぼのとなります。
【観終わって】吉行和子さんの着物、昭和25,6年頃の母の一丁羅のお召しにビックリするほど似ていたのにドキッとなりました。
3人の子供が夫々に成功している幸せな両親と羨まれながらも本人達は一向に幸せを感じられない東京見物。
忙しい子供達の案内ではなくハトバスでの東京見物。わびしいです。
一番心配の種だった昌次とその紀子(二人は紀子が東日本大震災の被災者、昌次は其処へボランティアとして出掛けて知り合った設定になっています)に本当の温かさを得させてもらう母。昔から父には叱られっ放しの昌次なので紀子の事も絶対赦してもらえないだろうと案じていて・・母から話して貰うように頼んでといたのに・・話す前に母は逝ってしまったし・・
昌次に一緒に行ってくれと話されて島へ一緒に来たものの、父と話す機会も無い紀子でしたが、帰る時に挨拶をしたその時に、
”紀子さんと呼んでいいかのう、あんたは良い人だのう”と心を溶いて昌次の事を頼み、母の形見に貰ってやってくれ”と母の愛用の腕時計を差し出します。思わず涙しました。
観ていないのですが1953年に制作された小津安二郎監督、笠智衆、原節子主演の 日本映画【東京物語】のリメイク版として60年後の現代社会を山田洋次監督がを描いた映画。
テロップの最後に”この映画を小津安二郎監督に捧げます”と一文がありました。
【追】下の画像はnetから借用しました。
1月24日(木) 壽初春大歌舞伎
美恵ちゃんから、招待券があるのでもし都合が付けば・・と送って下さいました。
お仕事の段取りを付けて行きました。
歌舞伎は大好きで良く行きますが【澤潟屋 おもだかや=市川猿之助】さんのスーパー歌舞伎は観たことがありませんでした。市川 猿之助の【日本武尊 やまとたける】で代表される、宙乗り、早変わり・・とケレン味の多い歌舞伎。ケレン. 「外連【けれん】」と書く場合もあります。大道具【おおどうぐ】や 小道具【こどうぐ】の仕掛【しか】けを使って、観客の意表をついたり驚【おどろ】かせるよう な演出のことを指します。早替り【はやがわり】や宙乗り【ちゅうのり】などが、その例です(yahoo検索)
今回猿之助→猿翁(えんおう)を亀次郎→猿之助そして話題の香川照之が歌舞伎の世界に入って市川中車と3人同時の襲名が大きな話題になってスーパー歌舞伎では無くて見慣れた歌舞伎の演目でした。
【昼の部】は11時からですが、招待券の場合は早い目に行って10時から観劇券と交換してもらいます。
1階の15列目の真ん中の結構良い席でした。
【おもだか屋】さんの役者さん達の他に坂田藤十郎さんほか数名の人が出演していますが、何といっても人数不足。
演目が変わっても顔ぶれは同じ。ほほえましい舞台でした。
ただ、猿之助さんは大きな名前を襲名された意気込みが舞台からジンジン伝わって来て大きな拍手を送りました。
中車さんはやはり歌舞伎役者の口跡(こうせき せりふのいいまわしや、声の出し方)が未熟に感じられましたが、精いっぱい頑張って居られる姿には拍手を送りました。
本来は【楼門五三桐  ろうもんごさんのきり】で石川五右衛門=中車、父の仇、真柴久吉=市川猿翁の父子共演になる筈でしたが、猿翁が体調不良の為休演、代役は猿之助が演じました。南禅寺の山門の上に中車、下には猿之助と従兄同士の晴れ姿。
物足りないようなとっても短い一幕物でしたが、アンコールに応えてカーテンコールに出てきた二人は互いに握手をして、中車が猿之助に礼をするなど微笑ましい終わり方でした。
【演目】今までに観た事のあるものが多かったので、パンフレットを転写しました。
【正札附根元草摺  しょうふだつきこんげんくさずり】 この演目は初めて観ました。
父の仇を討とうと仇の館へ向かう曽我五郎(市川猿弥 いちかわえんや)とそれを止めようとする女性、舞鶴(市川笑也 しょうや)の華やかな舞踊。
女でありながらも力持ちの女性舞鶴は何としても行く手を防ごうとして鎧の草摺(よろいのくさずり)をひきあいお互いの力自慢をする【引き合い事】を取り入れた舞踊。
【毛抜】
以前に観たことが有りますが、小野春道の館で家宝の【小野小町の短冊】が何者かに盗まれ、姫君の髪の毛が逆立つ、という奇病に取りつかれた為に婚礼も先延ばし様態に。主君の婚礼が延びている状態を探る為に小野邸を訪れた家臣壇正(市川右近 うこん)は自分の毛抜きが踊りだす事を不審に思い天井裏を探ると其処には大きな磁石が仕掛けられており銀の短冊も見つかり、姫のかんざしが磁石で引っ張られて髪の毛も逆立つことを明らかにする。一幕に続き猿弥が悪役の玄蕃 げんば に。
【吉野山】兄に追われた義経が都落ちするのを追ってきた静御前(坂田藤十郎)は家来の佐藤忠信(猿之助)と吉野山へ向かいます。
静御前が手にする、義経から預かった初音の鼓を愛おしそうに観る忠信。この忠信、実は此の鼓の皮にされた夫婦狐の子供の狐が化けた姿です。
狐のしぐさを上手に演じる猿之助、時には恥ずかしそうに、慌てて狐振りの手をかくしたり・・
この静御前を捕えて義経の居所を白状させようと追ってくる役人、逸見藤太(はやみのとうた=中村かん雀)の滑稽は、昨年夏の片岡仁左衛門さんと同じく、当日演じている役者の名前を入れた洒脱(しゃだつ)な名調子の台詞で笑いを取って居られました。
猿之助の狐ぶりの跳躍の高さ、花道をピョンピョン跳ねながら引き下がる所は万雷の拍手でした。お見事でした。
此処でも藤太の子分に猿弥、右近等が出演していました。
【楼門五三桐】ろうもんごさんのきり
これは長らくの宿縁で父子を名乗れなかった猿翁 えんおうと中車 香川照之の父子共演が観られるとの話題性もありましたが、当日体調不良で猿翁は休演。今年に入ってテレビンドキュメンント番組で練習風景を取り上げられていましたが、脳梗塞の為台詞も覚束ない父親が歌舞伎の世界での初舞台を演じる息子に一言一言感情を移入して教える姿は感動モノでした。
”しっかりやりなさい””ご指導有難うございました”と対坐する場面。父親の感情の表情は分かりにくいですがなにかフツフツとしたものが感じられました。
【観終わって】
何時もの歌舞伎のように沢山の屋号を持つ役者さんが出演するのではなく、殆どが市川家 ”澤潟屋 おもだかや=市川猿之助
の役者さん達。でこちゃん曰く、”学芸会をお想い出すねえ・・”前の舞台で主役の人が次の舞台も又その次の舞台にも・・
私は観たことが無いのですが猿之助がスーパー歌舞伎で風靡 ふうび していた時はチケットを手に入れる事がとても困難だったとか。
座長の病気で沈みがちなおもだか屋を今回襲名した猿之助が何処まで引っ張って行けるか・・期待されます。
お正月に中継された舞台は3人の襲名披露口上の幕も有る松竹座の夜の部でした。
夜の部では【義経千本桜】の川連判眼館の場 (かわつらほうがんやかたのば)があり、猿之助が狐になって身軽に出たり入ったり、又宙乗りする場面も有りました。此の時の静御前は片岡秀太郎でした。
チケット交換から開場まで時間が有りましたので、お天気も良かったので30分程ブラブラ歩きを。久しぶりにお参りした法善寺横丁の【水掛け不動さん】は見事な、美しい苔の衣装でした。
お芝居の帰り、今里のホームにいる義姉を訪ねました。
もう81歳になりますが童女のような表情で色々と話しかけお気に入りの
♪白地に赤く 日の丸染めて ああ美しい・・♪も唄ってくれます。
カメラをお願いした職員さんが”私らには見せない笑顔ですね、嬉しいんでしょうね”と話されました。